企画

□想い合う
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がたん、ごとん
デートのお誘いの日から約1週間後
わたしとパウリーさんは海列車に乗って、美食の街プッチを目指していた

「今度はなにかのお礼とか、なんかのついでに、とかじゃねぇ。ちゃんと出掛けようぜ」
とパウリーさんが真剣に言うもんだから、パウリーさんのいう「ちゃんと」がよく分からなかったけど、
まだ行ったことのないプッチに連れてって貰うことにしたのだ

今日は見事に快晴で、窓から入ってくる風が気持ち良い
ちら、とパウリーさんを見れば、視線がぶつかり合った
「あ、いや…いい天気だな」
取って付けたような台詞に、少し可笑しくなったけど
「そうですね」
と笑顔で返した

「お、もうすぐ着くみたいだな」
『ほんとですか?じゃあ、そろそろ降りる準備しないと』
そう言って立ち上がり荷物に手を伸ばせば、
わたしの手が触れるよりも早く、荷物がおりてきた
「お前なぁ、前にも言っただろ?こういうときは俺に言えって」
とため息混じりのパウリーさんの声
『あ、すみません』
と後ろを振り向けば、思っていたより目の前にパウリーさんの顔があって
お互い顔を真っ赤にしながら固まってしまった



「海列車パッフィングトムは間もなく、プッチに到着します――」


突然聞こえてきた車内アナウンスに、
わたしもパウリーさんも、慌てて降りる準備を始める
「あー…あれだ。ちゃんと水分取らねぇとな」
『そ、そうですね』
照れ隠しの会話も、なんだか余計に恥ずかしくて泣きそうになってきた


こんなことで、1日持つのだろうか?





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