企画

□近付く
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『パウリーさん、ありがとうございます!』
社長室に荷物を届け、伝票にちゃんとサインを貰い、
1番ドックの入り口まで送ってもらったりしてしまった
ありがとうだけじゃ足りないよ!とどうしようか考えていれば、
急に頭が重くなった
と、いうか撫でられている
パウリーさんに

「お前、またくだらねぇこと考えてんじゃねーだろうな?」
そう言うパウリーさんは子供のような笑顔でわたしを見ていて
一気に顔が熱くなった

「重いもんはな、俺とかルッチとか、男に持たせときゃいーんだよ!
もっと人を使え!」
『は、はい…!』
はい、とは答えたけど、全然頭に入ってこない…
油断してたところにそれは、反則です…!

「ひな、お前……」

パウリーさんのわたしを呼ぶ声に、
ドキドキしながら顔を上げれば
目の前にはパウリーさんの顔があって、
ますます顔が熱を持ってしまった

「おま、っ……破廉恥……!」

急にそう言って、パウリーさんは立ち上がってしまった
破廉恥ってなにが?と聞く暇もなく、
「じゃ、じゃあな。気を付けて帰れよ」
と彼はわたしに背を向けて本社の方へ歩いていってしまった

『はい!あ、ほんとうに、ありがとうございました!』
彼の遠ざかっていく背にそう言えば、
後ろ手に手を降ってくれて

ほんと、
何から何までかっこいいんだから!



近付く


(また、頭撫でてくれないかな…)
(なんて、我が儘かな)





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