企画

□近付く
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「ひなちゃん。今日はこれ、ガレーラの本社に持っていってくれる?」
『えっ!?は、はい!』

おじさんに呼ばれて行けば、
意外なところへの配達を頼まれてしまった
自然に頬が綻んでしまうのはもう仕方がない
だって、もしかしたらもしかしたら!
パウリーさんに会えるかもしれない!
とルンルン気分で配達する果物をヤガラちゃんに積んでいく

「じゃあ、気を付けて行ってくるんだよ」
そう、いつも通りの笑顔でおじさんに見送られ、
わたしはいつもより元気に、ガレーラへ向けてヤガラちゃんを発進させた



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『こ、こんにちは!』
門の前にいた船大工さんに挨拶をし、本社へ足を踏み入れた
パウリーさんはドック内にはいないようで、少し残念だなぁ、なんて思いながら本社内へ足を進めれば、
お目当ての彼を見付けて、
おまけに「!?…っひな!?」と名前を呼ばれれば、それはそれはもう嬉しくて
『うふふ、こんにちは、パウリーさん』
と、気持ち悪いくらいの笑顔で返してしまう


「なんだパウリー、知り合いか?っぽー」
パウリーさんを目の前に、にやけた顔を押さえていると、
有名な職長さんが間へ入ってきた
『あ、えーと、ルッチさん…?』
鳩を肩に乗せてシルクハットを被ってて…
うん、ルッチさんに間違いない!
「なんだ、ルッチのこと知ってるのかっぽー」
と聞かれたので、素直に
『はい、有名ですから!』と返しておく
実際、パウリーさん以外の職長さんはほとんど知らなかったりするのだけど……
内緒にしておこう…!

「今日はガレーラまで何しに来たんだ?配達か?」
それまで横で見ていたパウリーさんが口を挟む
『あ、はい!今日は珍しく注文があったとかで!』
そういえばパウリーさんは何を思ったか、
わたしの持っていたコンテナを横から奪うように持ち上げて
「これ、どこに運ぶんだ?」
と歩き出していた
『あっ、あの!パウリーさん!?』
慌てて追いかけてコンテナに手をかけると、
「いいから早く教えろ!食堂か?社長室か?」
と言われてしまい、
『え、と…社長室、です』
と、大人しく諦めることにした


振り替えってルッチさんに一度頭を下げ、先に行ってしまったパウリーさんを追いかけた






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