企画

□意識する
2ページ/2ページ




『すごく美味しかったです!ご馳走さまでした!』
「そうか、そりゃよかった!金があるときにまた奢ってやるよ!」

そんな、いいですよ!なんて言いながらも、次があるのか、と期待してしまう
そんな気持ちがだだ漏れだったのか、パウリーさんに「また奢られる気マンマンだろ?」と小突かれてしまったけど、それさえも幸せで
もうパウリーさん中毒者になってしまった

「ん?パウリーお主…」
パウリーさんを呼ぶ声に二人で振り向けば、何度か見たことがある顔
「ゲッ!カク!!」
そう、カクさん!
近所の子供たちが話してるのを聞いたことがある
実物も何度か見たことはあるけど、話すのは初めてだ

「今日は戻りが遅いと思うとったらお主……デートか」
「でっ……!」
慌てるパウリーさん
カクさんはニヤニヤしながら言い、パウリーさんをからかっているようだった
「うるせぇよ!まだ休憩時間内なんだから何したっていいだろうが!」
「おー怖い怖い。邪魔物は退散しようかのぅ」
チラリとこちらを見たカクさんに頭を下げれる

「お、なかなか良い子じゃのぅ。どうじゃ?パウリーなんかやめてわしに
「馬鹿言ってねぇで早く帰れ!」
最後に少し言い合った後、カクさんは大人しく手を振って去っていった
うん、子供に好かれるのが分かった気がする!

「油断も隙もねぇなアイツは!」
パウリーさんは腕を組み、カクさんのいた方を見ながら言う
ふふ、と笑えば、パウリーさんは今度はわたしを見て疲れた顔をした
「お前のことなんだけどなぁ…」
と言われたけど、よくわからなくて首を傾げることしか出来なかった




--------------------


「あー……」
『?どうかしました?パウリーさん』
わたしの帰り道ということもあり、一緒にガレーラの前まで歩いてきたのだけど……
パウリーさんはなにかを考え込んでいるようで、1番ドックまであと少しというところで足を止めて動かなくなった

「あの、よ……」
パウリーさんがやっと紡ぎだした言葉は意外にも弱々しく、
いつにも増して真剣な顔でパウリーさんを見つめる
「今度……今度の休み、どっか行かねぇか?」
『へ?』

すごく真剣な顔で言うもんだから、その意外な言葉に、変な声が漏れてしまった
「へ?じゃねぇよ。どっか行かねぇかって言ってんだよ」
そういうパウリーさんの顔を見ればほんのり赤くて、
そういうことか、とわたしまで赤くなってしまった
『え、えと……喜んで…?』
少し首を傾げれば、
「俺に聞くんじゃねぇ…」
と顔を逸らされてしまった




意識する


(あぁ、神様)
(夢ならどうか、覚めないでください)






前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ