短編

□ミリ知らロミシン 後
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逃げる。

逃げる逃げる逃げる。

逃げて、そして

そして――――?

私はどうすればいいの?

私にはもう帰る場所なんてないのに。

里を抜けた私に帰れる場所なんてないのに。

なんであの時、蝙蝠の言うことを聞かなかったんだろう。



『カハッ・・・!』



ぼとぼとっ、と血が口から落ちる。

否、口からだけじゃない

体中―― 頭、頬、腕、腹、脚 ――至る所から血が流れてる

あぁ、もうだめなのかもしれない。

私はバカだった

優しくされたからって

愛の言葉を囁かれたからって



――――所詮、敵対忍軍の者だったんだ



あの日、里を出た私は愛しの人のもとへ向かった

そこで待っていたのは愛しの人だけではなくて、



「さあ真庭忍軍の里の場所を教えてもらおうか」



大勢の敵対忍軍の者たちだった

しかもそれを率いていたのが愛しの人だったのだから



『どう、して・・・?』
「はんっ!馬鹿な女!!あんなの全て演技に決まってるだろう!?」
『そんな・・・』
「さあそいつを捕えろ!!」



それからは必死に逃げて

逃げてきたけど見つかった。

そしてこの有様



『蝙蝠ぃ・・・ごめんね、私馬鹿だったよ』

『兄様、馬鹿な妹でごめんなさい・・・』

『それでも真庭の里が忘れられなくて、大切なんです・・・』

『戻れるなら、』



ガサッ



「いたぞ!!」

『ちっ・・・』



今度こそ駄目だ
もう、動けない―――



「覚悟!!」

『さよなら、みんな』

『さよなら、兄様』

『さよなら、蝙蝠。本当はずっと前から大好きだったよ』
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