長編
□斬刀・鈍
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時は流れて如月―――
誰もいないような砂漠に人影が2つ。
真っ白なしのび装束を着た男と、それとは対照的なほど真っ赤な忍び装束を着た少女。
『あっつぅい・・・溶けるぅぅぅ・・・』
「ろだいな訳るけ溶に単簡うそ」
言うまでもなく、真庭忍軍十二統領の内の一人真庭白鷺と
真庭忍軍の実質的頭と言われる真庭鳳凰の妹、真庭朱雀である。
『白鷺ー、水はないのー・・・?』
「がうろだたっまちし干み飲部全が雀朱きっさ」
『うぇええ・・・ そのさ、下酷城とやらはどこにあるのさー』
なぜ二人がこんな砂漠にいるのかというと。
この広い広い因幡沙漠のなかに四季崎記紀の変体刀の所有者がいるからだ。
そんな話をしているとびゅううと、強い風が一吹き。
『あ。』
「っくっくっくっく。ぜだいたみたい着らやうど?」
すぐ目前に巨大な平城が、いきなり天守閣が現れた。
「鈍・刀斬」
『いただきに参るーーー!!』