長編

□出会い
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見えなかったの。


生まれた時から何も。


ただただ真っ暗な闇が広がっているだけで。


色、なんてなくて。


みんなは綺麗だという私の髪も、


自分じゃ何色かさえ分からなくて。


何色か教えてもらっても


その色さえ知らなくて、知る術も無くて。


だから、


僕には何も分からないの。


知りたくてもすることができないの。


あなたのことも、僕自身の事も―――





だからね?


ゆっくりでいいから


少しずつでいいから


僕に教えてよ。


君の事


君の眼に映る僕の事

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