□第1章
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〜須貝side〜
諸々の質問も終わっておやつの時間が近くなる。
「今日のおやつはね、サーターアンダギーにしない?小麦粉余ってるし。」
「おおっ、いいですね。」
「まあ、本当はサーターアンダギーの素で作るのが手っ取り早いけど本土にはないから。」
「そんなのあるんだ。」
「うん、普通に売ってるよ。あぁ、かき混ぜてるだけでヨダレが止まんない!」


「美翔さん、なんかやることあります?」
昔の癖なのか河村と川上、伊沢の3人はまるで子どものような顔をしてお手伝いをしている。
俺たちは出る幕なしかな?
「はーい、できたよ!たんとおあがり!」
「みんな何飲む?」
「はーい、味変用の色々はここに置いとくよ。」


「うーん、美味しい。」
「でしょ?おばぁ仕込みのレシピですもの。この間もシーミーで食べてきたけどやっぱり美味しいよね〜」
「あぁ、もうそんな時期ですか。」
「今年も親戚一同集まってどんちゃん騒ぎして楽しかったなぁ。来年は拓司もおいでよ。」
「おぉっ!結婚宣言ですか?」
「いや〜どうかな?結婚はしないかも。」
「なんでですか?お似合いなのに。」
「私と結婚するなら婿養子になってもらわなくちゃ。私一人っ子だからさ、一応ね実家が実家だし。」
「俺は婿養子でも何でもいいですよ、美翔さんといれるなら。」
「美翔さん、実家継ぐんですか?」
「名前だけは継ごうかと。家とか土地はめんどくさいから誰かが継げばいいやって思ってる。」
「えっ、何?美翔さんってもしかしてお嬢様なの?」
「先祖はハワイ王室に使えてた由緒正しい身分らしいからね〜まあ、身分はいわゆる上級国民ってやつなのかしら?私は別に気にした事もないけど。」
「でもハワイの実家めっちゃ広くないですか?」
「うん、Googleマップでもわかるくらいには。」


今日1日でわかった美翔さんの素顔。
メディアに出てた時とは違い、よく笑ってよく喋ってたまに意地悪で。
何より伊沢といる時の美翔さんは幸せそう。
さっきから目の前で口元を拭いたりあーんしたりとバカップル全開なのに不思議と不快な気持ちにはならない。
これも2人の人徳ならではだろう。
どうかこの2人の幸せが続きますように。
心から祈らずにはいられない。


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