雅華平安〜夢幻の日々〜

□現世に馴染み出す
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皆様を寝かしつけたあたりから記憶がない。
昨日は疲れ過ぎててお風呂に入らず寝てしまったみたいなので今日は早起きして朝風呂しよう。

そう思いリビングで雑魚寝状態の皆様を避けながら部屋を出て階段を上がりお風呂に向かう。

追い炊きをしている間に身体と髪を洗う。
背中の真新しい傷口にシャンプーがしみてとてつもなく痛い。


私は彼氏のリョウから暴力を受けている。いわゆるDVというやつだ。
「リョウと別れた」と嘘をついて此処に帰ってきたが関係は続いていて今もちょくちょく逢っている。

この前のデートの時はいっしょに映画を観に行った。
リョウは外では私にとっても優しい。
でも家に帰ったら
「服装が気に入らない」とかなんとか言って私を殴りその後は無理やりレイプされた。
その後はいつも通りのリョウになり
「ごめんね、痛かっただろ?」
「俺は蘭子を愛してるからこうするだけだよ?」
と優しくしてくれた。
こんなこと美翔やお姉ちゃんにバレたら「別れろ」と言われるから絶対に秘密だ。
だって別れたらリョウが1人になってしまう。
それにリョウには私がいなきゃダメなんだ。







のんびりと湯船に浸かり今日の朝ごはんや色々と考えながら徐々に明るくなる空を眺めてぼーっとする。
そんな幸せを噛み締めていると
「…子さん!蘭子さん!」
私以外の声がする。嘘⁉まさか…
「重盛くん⁉い、いつからそこに?」
「先ほどからおるぞ。蘭子さんが気づいとらんだけじゃ。」
「そっか。」
普通に振る舞うも心の中では怖くて仕方なかった。
いっしょに湯船に浸かる。
すなわち、傷を見られたということ。
いつ傷のことについて質問が来るのかドキドキしていた。

重盛くんは私の傷について一切聞いてこなかった。
それでもなんとなく居心地が悪くて先にお風呂を出てしまった。
ドライヤーで髪の毛を乾かしながらさっきの出来事を考える。
リョウと付き合ってから若干の男性不信に陥ってる私。
平家の皆様がそんな人じゃないことはわかってる。それでも…
と、ネガティヴなことばかり考えてしまう。


だめだめ、そんなことばかり考えてちゃ。
気をとりなおして1階におりる。
さあ、皆様の朝ごはんを作ろう!
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