雅華平安〜夢幻の日々〜

□いざ、未来へ!
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〜GIONside〜
「未来の世界が見たい!」
清盛様が突拍子もなくワガママを言い始めた。
いつものワガママだろうと私を含め皆そう思っていたのですがどうも此度は様子が違うよう。
かなり本気モードのワガママ。
清盛様の性格を熟知している重盛様でさえ困惑する始末。


こうなれば仕方ない。
私、GION頑張りまする!
思いつく限りのありとあらゆる手段を使って知り合いを巡りに巡り色々なお店を探しに探してようやく手に入れたスマホ型のタイムマシン。
平家の財をもってしてもようやく手に入った貴重な品で普段私が愛用している品よりもうんと高価。
これ一つ買うお金があれば私の一生は絶対安泰だ。
……肝心の効果はかわからないですけど。
ただやってみることに効果はあるはず!
と、いうことで


「GIONとやら、なんじゃ?いきなりわしを呼び出すとは。儂だって忙しいんじゃよ。」
「も〜何ですか💢私が来るなりその態度!大体毎日宴会やら遊戯ばかりなんですからお暇でございましょう⁉」
「ま、まぁひとまず落ち着け。で、一体儂に何の用じゃ?」
「ようやく手に入りましたよ、タイムマシン!」
「ほぉ。ところでそのたいむましんとかいうのは何なんじゃ?」
「簡単にご説明いたしますると時空移動のできる機械にございまする。これさえあれば未来の福原の地までひとっ飛びにございまするよ。」
「本当か⁉それにしては怪しいの〜?こんなうっすいからくりで未来へか?GIONお主騙されたりはしておらんじゃろうな?」
「むむっ💢分かりました、じゃあいいですよ。私1人で行ってきまする。」
「ダメじゃ!許さん!儂も行く!そうじゃ、あいつらも連れていくぞ!GIONや、儂は未来へ行く支度するからまた明日!」
清盛様は嵐のように帰っていった。
ところであいつらって誰なのでござりましょうか?


〜翌日〜
「おはようございまする〜ってえ〜⁉」
そこには御嫡男の重盛様を筆頭として宗盛様や徳子様と清盛様のご子息の皆様にその子ども、つまり孫にあたる維盛様や知章様。
さらに清盛様のご兄弟の頼盛様や家盛様にそのご子息の敦盛様等々平家一族総出でフル装備。
「皆ゆうたじゃろ!荷物は最小限にせえと。父上わざわざ酒はいりませぬぞ。どうせすぐに戻るのですから。それに宗盛も知盛も無駄な荷物が多すぎるんじゃよ💢」
重盛様のお小言は相変わらずのよう。



「GIONや、ちと気になるのじゃがこのからくりは安全なのであろうな?」
「私にも保証は出来ませぬ。ですから皆様、覚悟をお決めくださいませ。」
「あかーん、そんなん絶対ダメじゃ!とにかく!儂以外はみな置いていくぞ!」
「清盛様!私もご一緒に!」
「此度は戦も同然、生きて帰れる保証はない。」
「嫌でございます!私は最期まで清盛様と共に!」
「頼む!時子!儂の身勝手じゃ!それでも…それよりもお主に生きていてほしいんじゃ!」
「それならば!清盛様も!」
「儂はええんじゃ…また儂の身勝手なんじゃから…」
「かようなことは!「わかっておるじゃろ!此度の儂の身勝手でGIONをはじめどれほどの人間が振り回されたか!」

清盛様がゆっくりと口を開く。
「未来の世を見たい!儂の身勝手な発言一つで多くの人間が振り回された。息子も弟達も皆総出で儂の望みを叶えようとしてくれたじゃろ?GIONは儂のためにとわざわざ立派なからくりまで用意して。ここで儂が危ないからやめておく?それでは今までの皆の苦労はどうなる!今回は儂の責任じゃ。お主らはこちらで待っておれ。大丈夫じゃ、きっと未来の世の土産をたんと持ち帰ってくる。」



「儂も共に参りますぞ!」
「重盛!わかっておるであろう!」
「何を仰りますか!父上をお支えするのが嫡男である儂の役目でございますぞ!」
「何がなんでも許さんぞ!再びお主を…息子を儂の身勝手で殺しとうはないんじゃよ!嫡男不在のこの家は平家はどうなると思うとるんじゃ!」
「それは…」
その時だった。
「儂もおりまするぞ!」
「基盛!お主まで儂に刃向かうとは何事じゃ!」
「お願いいたします!兄上も共にお連れくださいませ!父上と兄上に代わりこの基盛が皆を守ればそれでよいではないですか!」
「基盛…」



未来に行くのを誰にするかでここまで揉めるとは思ってもみませんでした…話はいつまでも平行線のままで進まず時間が過ぎるだけ。
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