小説
□魔法のひまわり
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「ほらよ」
仕事が一段落ついて、よし、と一言口からこぼれたとき、ミラジェーンの目の前はそんな声と同時に黄色でいっぱいに包まれた。
「わぁ、綺麗なひまわり!!」
思わず感嘆の声を上げると、声の主は再び“ほら”と一輪のひまわりを更に差し出す。
「おかえりなさいラクサス。ひまわりありがとう、とっても綺麗ね」
「…ただいま。帰り道に一輪だけ咲いてたから、持ってきた」
“お前にあげたくて”という言葉は心の中だけで言ってみた。
「うふふ、ありがとう」
花など似合わないギルド最強の男が、一輪のひまわりを手に颯爽と歩く姿を想像してホッコリとしたミラジェーンは、後ろの棚から涼しげな花瓶を取り出し、自分がよく居るカウンターにひまわりを置いた。
「ここならいつでも見れるわ」
「…どういうことだ?」
よくわからないといった顔でカウンター席にドカッとラクサスは座った。
「ひまわりの花言葉はいつもあなたを見つめています、なのよ。だから私をいつでも見れるところに置いてあげるわね、私のひまわりさん」
小首を傾げながら人差し指でラクサスの鼻をちょんと触ると、ミラはカウンターの奥へ入っていった。おそらくいつものようにラクサスの遅い昼食を作るため。
「…………くっそ」
少し顔を赤らめたラクサスは、居心地が悪そうに眉をひそめた。
いつだってこうだ。
俺はあいつにだけは適わない。
だからこんなにも抱きしめたくなる。
END
〜〜〜
あとがき
大人な2人にしたいー!!