小説[リクエスト]

□青い記憶
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壁、天井、カーテン…白に包まれたこの部屋のベッドに横たわるのは、包帯で体のあちこちを巻かれた少女。
いつも艶やかな青い髪はその輝きを無くし枕へ散らばっている。
何より、黒目がちな大きな瞳は数日間閉じられたまま何も写していなかった。

「………っ」
その傍らのイスに座り、悲痛な面持ちでいるのは黒髪の青年。
少女が眠り続けている間、片時も離れずそばにいる。


僅かに音を立てて扉が開き、トレイに軽食を乗せたミラジェーンと、目を腫らしたルーシィが入ってくる。

「グレイ?サンドイッチ作ったのよ、食べなさい。あなた何も食べてないじゃない」
「…あたし替わるから、少し休んだらどう?」
優しく諭すようなミラの声も、今にも泣き出しそうなルーシィの声も、グレイの耳には届いていないようだ。

「…っ、グレイ、ごめんね」
たまらず泣き出すルーシィの背中を優しくさすりながら、テーブルにサンドイッチとミルクティーを置くミラジェーン。

「行きましょう、ルーシィ。今のグレイには何を言っても届かないわ、そっとしておいてあげましょう」
「は、はい…ジュビア、ごめんね…!!」
ミラに肩を抱かれるようにしてルーシィは部屋を出ていく。


静かになった部屋でグレイは独り言のように繰り返し呟いていた。

「なんであんな事言っちまったんだ」



続きます→→→

リクエストの記憶喪失ネタです!
長くなるかもしれないので長い目で読んでやってください、ごめんなさい(ノД`)
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