小説[リクエスト]

□出産育児奮闘記3
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*リクエスト内容に沿い、未来のお話となります。苦手な方はご注意ください。シルバ妊娠前です*














「あっ、きたきた」
人混みの中でも分かり易いように大きく手を振ったあたしに気が付いたジュビアが、ぱたぱたと駆け寄ってきた。

「ルーシィ、ごめんなさい!ジュビア遅かったですね…」
困った顔で謝るジュビアの目の前で、ひらひらと両手を振る。
「いいよいいよ〜待ったのなんて5分くらいだよ?」
「それなら、良いのですが…」
「それに急に誘ったのはあたしだし!付き合ってくれてありがとね」
「そ、それはもちろん!…先日のガジルくんとレビィさんに続いて、ルーシィとナツさんまで結婚するだなんて…素敵なこと続きでジュビアまで幸せです…!」

周囲に花が咲いたように顔を綻ばせて喜んでくれるジュビアに、あたしまでついつい頬を緩める。
「あたし達も、レビィちゃん達も、ジュビアとグレイに刺激されて結婚まで進めたんだよ?」
「え?…ジュビア達、ですか?」
きょとんと小首を傾げるジュビアに苦笑する。
「まさかあんた達が最初に結婚するなんて皆思ってなかったし。…それに2人ギルドでイチャイチャし過ぎ!」
目の前の青髪の少女は以前から想い人に熱烈なアプローチを仕掛けていたのだが、その想われ人は何かと理由を付けて彼女を避けていたのだ。
しかしその男が己の恋心を自覚した途端、それまでの態度が一変し、彼女以上に自身の想い人に愛をばらまき出した。
そしてギルド内に出来ている数組のカップルの中でいち早く結婚へと持ち込んだのだ。
人一倍恥ずかしがり屋の彼女とヘタレ男のカップルが一番乗りということで、ギルド内は騒然としたものだ。


「…皆さんに良い影響を与えられたのなら良かったです。…あ。時間、大丈夫なんですか?」
はっと思い出したようにジュビアが聞いてくる。
「ああ、平気。だいぶ余裕を持たせてあるから!行く前にジュビアとゆっくりお茶でもしようかなって」
そう言ってジュビアの腕を軽く引きながら歩き出した。


=====


「じゃあアイスティーとミニパンケーキで。…ジュビアも同じにする?ここのパンケーキすっごい美味しいのよ」
オーダーを伺いに来た若いウェイターに向かってルーシィがにっこりとそう告げる。
「あ、いえ、ジュビアは…」
視線をメニューにさまよわせると、このカフェの看板メニューなのであろうフルーツとクリームがたっぷり乗った大きなパンケーキの写真が目に入る。
実はというと一週間程前から体調の芳しくないジュビアはそれを見るだけでムカムカと吐き気を催した。
パタンとメニューを閉じる。
「あの、炭酸水でお願いします」

ウェイターが下がっていくと、ルーシィが身を乗り出してくる。
「ジュビア。どうかしたの?」
「あ、ううん。大丈夫です」
「てかさ、あんた少し痩せたよね。食欲無いの?心配事?」
むむっと眉間に皺をつくりながらルーシィに見つめられる。
「心配事なんて、無いですよ。幸せですし」
「…そうよね、新婚だもんね。でも何かあったらすぐ相談してよ?」
「ありがとうございますルーシィ。…そんな事より今日はルーシィの大事な日です!」
「あ。…うんっ」

注文していたドリンク等も来て、ルーシィとの会話を楽しむ。最近は体の不調のせいで気分が落ち込むときも多かったけど、今はとても良い時間を過ごせた。

「…そろそろ時間ですか?」
「ホントだ!…じゃもう行こうかな、式場」

今日はルーシィのウェディングドレスの衣装合わせの日。
本当なら夫になるナツさんが付き添うのが良いんだろうけど、ナツさんがどうも無頓着というか、式のことはルーシィに任せきりのようで今日もエルザさんやグレイ様と朝から仕事へと行ってしまったらしい。

「ったく、ナツの奴。ごめんねジュビア、付き合わせて」
「いえ、ジュビアは良いですよ。キラキラしたドレスはどれだけ見てても飽きないですし。…ナツさんへは、ドレスは当日まで秘密でサプライズっていうのもまた良さそう」
「ふふっ、それ良いかも」

ルーシィの輝くような金髪と、健康的かつ魅力的な体は、正直どのドレスも似合ってて甲乙つけ難かった。
悩みに悩んで最終的にルーシィと意見を一致させたのが、純白でプリンセスライン、デコルテ部分を露わにさせたビスチェドレス。
それに合わせた大ぶりなジュエリーもプラスして、ため息が出るほど彼女は美しかった。
式当日、ナツさんが驚き見惚れる姿が容易に浮かぶ。
ふふっとジュビアはひとりで小さく笑った。
素敵なドレス達で目の保養も出来たし、胃のムカつきも最小限しか無かった。やはり素敵な時間だった。

予約手続きを済ませたルーシィが、お待たせ〜、と言いながら駆けてくる。
「ダメですよ、ルーシィ。花嫁さんがそんな風にパタパタ走っちゃ…っ」
そんなことを言いながら油断して立ち上がると、視界が360℃ぐらりと回る不快な感覚がジュビアを襲い、続いて強烈な吐き気がし、意識を何処かに持っていかれる。

「きゃあっ!ジュビア、…ジュビアっ!!」
動揺したルーシィの叫び声に返事をしたかったが、それも出来ぬまま、ジュビアは意識を手放した。


→→→

リクエストを頂きましたシルバ妊娠中の話です(^_^)ゞ
このシリーズ、たくさんの嬉しい感想とリクエストを頂けます。
ありがとうございます!!ヽ(^0^)ノ
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