小説

□Wデート2
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「こんなの、どう?」
「いいな。この色、ミラに良く似合うと思うぞ」
「エルザに似合うのはこっちの色ね、これでお揃いよ〜」
「うん、色違いも良いな。買おう」

女の子達で賑わう洋服店に、一際華やかなオーラを纏う2人がいた。2人はいろいろな服を手に取り、体に合わせあってみたり笑いあってみたりと随分楽しそうだ。
が、2人は合わせてきたわけではない。それぞれがそれぞれの連れと街を歩いていたところ、偶然鉢合わせて今のWデート状態になったのだ。



店の外、ショーウィンドウの目の前に、この可愛らしい洋服店には似ても似つかない2人の男が立っていた。
「………遅ェ。いつまで待たせやがる」
「女の買い物はこんなものだよ」

イライラしながら店のほうを睨みつけるラクサスと、まあまあと宥めながらも退屈そうな表情のジェラール。
一方の男が腕を組み直し、もう一方の男がふうっとため息をついたところで、店のドアの開く音がして高く明るい声が耳に入ってきた。

「ごめんね、待たせちゃって」
「つい買い物に夢中になっていたようだ、すまない」
ミラとエルザは同じ柄の可愛らしい紙袋を持ちながら駆け寄ってくる。
それを見て2人の男は、気付かれない程度にふっと口元を綻ばせる。
いつもこう。待たされてイライラしても、ひどく退屈であっても、笑顔で駆け寄ってくる彼女を見ると怒る気にもならない。惚れた弱みだ。

「別にいいんだ。良いものは買えたか?エルザ」
ジェラールがエルザに優しく問う。
「今日は可愛いのが買えたぞ。ミラと色違いでお揃いだ」
「可愛いブラウスと、あと水着もよ」
横からミラジェーンがニコニコと付け足す。
「だから今度、4人で海にでも行きましょーね!!せっかく可愛いの買ったんだもん、着たいじゃない、ねーエルザ??」
「ああ、そうだな。せっかくだし、このビキニを着るか」
どんどん2人で話を進めていく。
立ち話が延々と続きそうなので、4人は向かいにあるレストランに入って遅い昼食をとることにした。




4人用テーブルには、ジェラールとエルザ、ラクサスとミラジェーンがそれぞれ隣り合うように座った。

「それで、さっきの話の続きなんだけど」
ミラが正面に座るエルザに話しかける。
「時間があれば今からどう?海」

「今から?確かに暑くて海日和だが…どうする、ジェラール?」
「あ、うん、俺はエルザに任せるよ…」
「そうか、では私達も行こう」

「おいおい」
半ば勝手に決められている次の行動にラクサスはため息をつきながらミラを軽く睨む。
「俺らは水着なんて持ってねーぞ」

「あら、ラクサスは持っていたっていつも海になんて入らないじゃない?」
「ミラ、無理強いは良くないぞ。ジェラールもあまり乗り気では無いし、また今度2人だけで行っても良いな」
「それもそうね。じゃあ今度、あのお揃いビキニ着て2人で海行きましょ」

ニコニコと会話している2人の横で、男達は偶然にも同じ事を考えていた。


人で賑わう海水浴場。
色違いのビキニを身に纏う女が2人。
皆が振り返るような顔とスタイル。
その肢体を申し訳程度に包む小さな布地。
2人に注がれる熱い視線。
群がる男どもーーーー


バチンと音がするほどにラクサスとジェラールは目が合った。

「いや、今から行こうか」
「だな。4人で行くぞ」
「…え?」

いきなり行く気になった彼らを不思議そうに見つめながら、ミラジェーンとエルザはくすりと笑った。



その後の海水浴場では、彼らの想像通り2人に熱い視線が送られることになる。
しかしその後ろには臨戦態勢に入った虎のような威嚇をする屈強な男達がついているものだから、彼女たちに声を掛ける強者は誰一人としていなかった。

END









〜〜〜
あとがき

彼女たちにベタ惚れの屈強な彼達を書きたかったのですが…いかがでしたか?>_<

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