小説

□策士ミラちゃん
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「大丈夫か、ジュビア」
「あ、はい…助けていただいてありがとうございます」

大魔闘演武Bチームが泊まる宿の外で、押しに弱いジュビアが男達に言い寄られているのを助けたのは、ミストガンに扮するジェラール。優しい性分の彼は、ジュビアがこれから行こうとしていた店まで着いていき、部屋へと帰ってくるまでずっと隣を歩き、道で人とすれ違うときには肩を抱いて引き寄せ守るほど気を遣った。

「ジェラ……いえ、ミストガンさん、付き合わせてしまってすみません。ジュビア、一人でも大丈夫でしたのに…」
「いや、いいんだ。こんな時間に女性を一人で出歩かせるのは危険だからね。現に君はさっき男達に言い寄られて困っていたではないか」
シュンと俯くジュビアの肩に手を置いて、優しく諭すジェラール。
するとジュビアは少し顔を赤らめてから「ありがとうございます」とニコッと笑った。

「ジュビア、男性にそんなに優しくされたのは初めてです。感激です」





2人が向かい合ってそんな会話をしていると、廊下の方から明るい声が聞こえた。
「あらあら、恋人同士みたいねー」
くすくすと笑いながらミラジェーンが入ってきて、その後にラクサスとガジルが続く。

向かい合っていた2人はぱっと体を離す。
「ミ、ミラさんっ…やめてください、そんなんじゃ…」
「わかってるわよー、ジュビアがグレイ以外とそんなことになるわけないもんねぇ。…でも見る人に寄っては勘違いしちゃうわよ、さっきのは…ねぇ、ラクサス?」
「ぁあ?俺にふるな」
「えー、じゃあガジル?」
「俺は知らねーよ!!」

3人が妙な掛け合いをしているのを横目に、ジュビアは自分のベッドに腰掛ける。
(…グレイ様がジェラールさんのように優しかったら…いえいえ、ジュビアは今のグレイ様が好き…それに今よりますます恋敵が増えてしまうわ)
などと一人で悶々と妄想を繰り返していた。






次の日、廊下を歩くグレイは後ろから自分を呼ぶ声に振り返る。
「ミラちゃん?」
駆け寄ってきた人物は、息を切らす事もなくニコニコ近づいてきた。
「グレイ、おはよう!!聞いて、昨日ジュビアったら宿の外で男の人達に囲まれて大変だったみたいなのよー!!」
「…おー、そうか。で、どうだったんだ?」
素っ気ないグレイの返しに、ミラは頬を膨らませて抗議する。
「なーに?グレイはジュビアが心配じゃないわけ?」
「いや…そこらの男にジュビアが負けるはずねーからな」
「もう!!大勢の男に囲まれたらジュビアだって怖いし怯むわよ!!ジェラールが身を持って守らなかったら危なかったらしいんだからねー!!」
「……マジ?」
「ほんとよー!!今だってジェラールにがっちり守られてて、外に出られないくらい怖がってるんだから…!!」
「…わりぃ、ミラちゃん、俺行くわ」

走り去るグレイの後ろ姿を見ながら、くすっと笑うミラジェーン。
「んー。ちょっと尾ひれ付けすぎちゃったかなぁ?」

「ちょっと、じゃねーだろ」
背後からの声に振り返れば、ラクサス、ガジル、ジェラールが柱の影から出てくる。

「あら、盗み聞き?」
「ミラジェーン、俺はここだが…」
「いいのよー、こうでもしなきゃグレイは動かないもの」

「…あいつ、シャワー浴びるって言ってなかったか?」
ガジルが顔をしかめた。
「あらやだー、バッドタイミングねー」
「……お前、知ってただろ」
ラクサスの的確なツッコミに、ぺろっと舌をだして見せるミラ。





(怖いなら俺に言えよ。他の男にずっと守られてるって…何だよ)
自分の苛立ちの理由はよくわからないまま、Bチームの宿の扉をノックもせず勢いよく開けるグレイ。

「ジュビア…ッ!!」
「えっ…グレイ、さま…??ひゃあぁ…!!」
素っ頓狂な声が聞こえたと思ったら、グレイの顔は枕のような柔らかいものでバフッと隠された。
「んなっ…何しやがる、ジュビア!!」

「グ、ググ、グレイ様こそ…ッ!!ジュビア今シャワー浴びてたところだったので、まだ、その、ふ、服を着ていないのです…!!ですから見ないで…ッ」
最後の方は消え入りそうな涙声で訴えるジュビア。

「……ま、まじ?その、すまん…!!」
くるりとドアの方を向き、ジュビアに背を向けるグレイ。そのまま急いで出て行こうとして、端と歩みを止めた。
「…ん?お前、ジェラールと一緒なのに風呂上がり裸なのかよ!?」

「え??…いえ、ジェラールさんならさっきガジル君達と出て行ったので、ジュビア1人ですよ?」
ジュビアはきょとんとした声で返す。

「はあ?でもミラちゃんが………っ」
つい振り返ってしまったグレイの目に飛び込んできたのは、まだしっとりと濡れた髪のジュビアが下着姿で立っている光景でーー。


「…っ、きゃあぁッ!!!!」
「うわっ、す、すまんっ」
慌てて部屋を出てきた真っ赤な顔のグレイ。


そんなグレイを廊下の死角から盗み見ている影がいくつか。
「あらあら、このまま私達の部屋で一晩、くらいの仲になるかと思って言ったのに」
「…なるわけねーだろ」
「俺もラクサスに同感だ」
ミラの天然発言に、ラクサスとジェラールが的確なツッコミを即座に入れる。

「でも興味はあったでしょ?3人共しっかり見に来てるし」
「…………………」
魔人と呼ばれた頃の血が騒ぐのか、ミラの目は生き生きと輝いている。
そんなミラにずばり指摘されて屈強な男達は言葉がでないのであった。


END









〜〜〜
あとがき

あんまりグレジュビじゃないですね、すみません(´・ω・`)

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