小説

□野獣の本能
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「美女と野獣だぁ?」
その日の夜、ラクサスの家まで夕飯を作りに来たミラジェーンの一言に、ラクサスは眉根を吊り上げた。
「俺が野獣か?」

「…ふふっ、たぶんね」
片目を瞑り、目の前の彼女は自分に微笑みかけた。
不覚にもその笑顔だけで己の心臓は高鳴ったのだが、格好も付かないので彼女にはそんなことは感じさせない。

「好き勝手言いやがる」
「まあまあ、良いじゃない。お似合いってことでしょ?物語の2人に例えられたんですもの」
「…お似合い?」
「うん。私は嬉しいわ」

毒気など微塵もない彼女の笑みを見つめていると、自分の毒も浄化されていく気がする。
と同時に、目の前の女を無性に壊したくなる衝動に駆られた。

(野獣ならいっそのこと、野獣の如くこいつの全てを喰ってやろうか…)

野蛮な感情が沸々と湧き出てくるのをどうにか押さえながら、ラクサスはミラジェーンに再び向き合った。

「あ、そうだ。ねえラクサス、私今夜ここに泊まって良いかしら?」
「…は?」
「泊まって良い?エルフマンもリサーナも今日は留守で淋しいのよ」
「…まあ、いいが…」
「うふふ、やった!ありがとね」

満面の笑みでぐいっと顔を近づけ、肩をそっと触れた後、ミラは食器の片付けを始める。

(……。こいつ、俺の心の中をわかってわざとやってんのか?)
赤らんだ顔をふいっとキッチンに向ければ、上機嫌に鼻歌を歌う彼女の華奢な白い肩…というより、形の良い曲線を描くヒップラインに釘付けになり、ラクサスは小さく息を吐いた。


END


〜〜〜
あとがき

読んでくれてありがとうございます(^^)
ラクミラは大人な雰囲気を目指しているのですが、及ばず。
このあとの話も書きたかったのですが、難しくて断念(;_;)
要望があれば頑張りますが…(笑)
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