小説[リクエスト]

□憧れ
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昼休み。
ジュビアはルーシィ達と4人でひとつの机を囲み、お弁当を広げていた。

「わぁ、ジュビアのお弁当は今日もキレイで美味しそう!!」
「そんなことないです、皆さんのだってとても美味しそう…!!」
「私のはミラ姉が作ってくれてるから〜」

他愛もない会話はいつものこと。
この時間が皆楽しみなのだ。

「これ、グレイ先輩に作ったのと同じお弁当なの?」
「あ…はい、グレイ様、食べてくれているかしら…」
コトリとフォークを置いてしまったジュビアに、ルーシィ達はすかさず言葉をかける。

「大丈夫よ、なんだかんだ言ってグレイ先輩はジュビアにメロメロぞっこんだから」
「そうそう、いっつも言葉は冷たいけど、明らかにジュビアを見る目は特別だよね〜」
「ジュビア、自信もちなよ」

友からの言葉に顔を赤らめたジュビアは、照れ隠しなのかスッと立ち上がった。
「ジュ、ジュビア、お手洗いに行ってきます…!!」





廊下に出たジュビアはトイレの前まで着くと、上の階が騒がしいのに気が付いた。

「あれ…グレイ様…??」

怒鳴り声の中にグレイのそれが含まれているような気がしたジュビアは、恐る恐る階段を上っていった。

廊下には人だかりが出来ていて、グレイの姿は確認出来ない。


人だかりから少し離れたところにガジルを見つけたジュビアは、こそっと駆け寄った。

「ガジル君…!!何かあったの?グレイ様は…??」
「ジュビア、2年のとこに来てんじゃねーよ…グレイならあの人だかりの中心」
そう言ってガジルは顎で人だかりを指した。


「誰だよ!!テメーか、ナツ!!それともエルフマンか!?ジェットか!?」

普段自分には向けられることのないグレイの怒鳴り声に、ジュビアは体を竦ませた。
「ガジル君…グレイ様は何をそんなに怒ってるの?」
「あ?…ああ、お前が作ってきた弁当。あれを机に置いといたら誰かが食っちまったらしーぞ」
「ええっ…!!」
そんなことで殴り合いの喧嘩になっているのか、とジュビアは驚き目を見開いた。

「…ま、良かったじゃねーか。お前、こりゃ勝算あるぜ?」
ガジルはポンポンとジュビアの頭を叩くと、階段を下っていってしまった。

ひとり残されたジュビアは、覚悟を決めて人だかりに突っ込み紛れ込んだ。
そしてグレイの腕を両手でがっしりと掴むことに成功した。
「グレイ様…っ!!やめてください、怪我をしてしまいますっ」
「…っ!!!ジュビア、来たのか…」

ジュビアの顔を見た途端、グレイからは毒気がすっかり抜けた。振り上げた拳をさまよわせ、がしがしと頭を掻く。

その様子を見て、周りの生徒達が集まってきた。
「もしかしてこの子がジュビアちゃん?」
「さっきの愛妻弁当を作った子?」
「美味かったよー、料理上手だね」
「しかも可愛い!!」
女に飢えた男達の好奇の目に晒されているジュビアの肩を抱えつつ、グレイは生徒達を睨んで歩き出す。



階段からこっそり見ていたガジルは、グレイに肩を抱かれて嬉しそうに赤面しているジュビアを見て、安堵したように今度こそ階段を下る。






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次が最後かな…甘くしたい!
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