小説[リクエスト]

□憧れ
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グレイは普段は立ち入り禁止の屋上へと、ジュビアを連れてきていた。

「足下、気を付けろよ」
「はい!!…うわぁ、ジュビア、屋上に来たの初めてです…街が見えてキレイ…!!」

フェンスにしがみつき、目をキラキラさせるジュビアの横顔をグレイはちらりと見た。


「ジュビア、その…すまん。作ってきてくれた弁当、誰かに食われちまって…」
申し訳なさそうに謝るグレイを見て、ジュビアはくすりと笑った。

「良いですよ。グレイ様の為のお弁当なら、ジュビアいつでも作ってきますから」
そう言ってジュビアは俯くグレイを下からのぞき込む。
「あ、ああ…さんきゅ…」
自分をのぞき込むジュビアの顔の近さに、明らかに動揺して頬を赤らめたグレイ。

(顔近っ…てか肌白、まつげ長い……………可愛い)

「グレイ様?お顔が赤いですけど…大丈夫ですか?熱でもあるのでは…」
無意識にジュビアをじっと見つめていたグレイは、自分の額に当たった冷たく柔らかい感触で我に返った。

「………ッ!!!」
自分の額に手の平を当て、無防備にまだ顔を近づけているジュビアの手をグレイは掴む。

がしゃん、とフェンスにジュビアの背をつけ両の手を押さえつけ、身動きの取れないように力を込めた。

「ぐ、グレイ様…?」
「お前、これ以上、俺を煽るな」
「……え」
「俺は、男だ」
「?…わかってますよ?」
「わかって、ねェな」

訳が分からない、といった顔をしているジュビアに、グレイはサッと顔を近づけてほんの一瞬唇を塞いだ。

「ん…っ」

突然のことに頭がついていかないのか、目を見開いたまま固まったジュビアの顔が徐々に赤く染まっていく。

「ぐ、ぐ、グレイ、さま…あ、あの、今のは一体…」
「うるせ。お前が俺を煽るからだろ」

そう言ってグレイは、ジュビアの細い体を強く抱きしめた。
ジュビア同様、赤く染まっているであろう自分の顔を見られないように。

「グレイ様、痛い、です…」
「毎日…作ってくれねえか?」
ジュビアの言葉には返さず、グレイは呟く。

「え?」
「弁当。毎日、お前の作ったのが食べたい。奴らからは死守するから」

抱きしめられたまま、ジュビアはグレイと見つめ合った。いつもの何倍も顔が近い。グレイの顔も赤いのがわかる。
この状況だけでクラクラ目眩がして、気を失いそうになるのを何度も堪える。

「も、もちろんです…ジュビア、毎日作ってお届けします」


グレイは返事の代わりに、もう一度ジュビアをきつく抱きしめた。
いつも感じているジュビアの女の甘い香りが今はやけに強く濃厚だ。


気付きかけている恋心と欲望には、今日は勝てそうにない。


「午後はサボってここにいようぜ」



END







〜〜〜
あとがき

リクエストありがとうございました!
学パロで甘々グレジュビ…すみませんっ、甘々にならなくて(ノД`)
これからたくさん書いて練習しますので、是非またリクエストお願いします(*´∀`)
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