小説[リクエスト]

□熱い君に溺れる
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今回はリクエスト内容に沿って、グレイとジュビアが同棲しております。よって少し未来のお話ということで…苦手な方嫌いな方はご注意ください。















「あー…あっちぃ、なぁ」
何本も列車を乗り継いで、ようやくマグノリアの駅に降り立ったのはグレイ。
一週間前から、雪山での仕事ということでグレイひとりで行っていた。
一週間も雪山に居たため、夜だというのに暑い街の熱気に耐えきれずいつの間にか上半身を脱いでいたグレイは、その事には気が付かないまま家路へと急いだ。

帰り道に思い浮かべるのは、家で待ちわびているであろう愛しい彼女の姿。
一週間前に仕事へ出るとき、淋しさからか彼女が涙をじんわりと浮かべていたのも思い出し、グレイは笑みをこぼした。

(一週間ずっと泣いてたわけ、ねーよな)

そう思うと、少し足早にもなる。




部屋に付いている灯りを確認して、グレイは玄関のドアを開けた。
するとパタパタと奥から急いで駆けてくる音が聞こえ、続いて水色のエプロン姿のジュビアが来る。

「ぐ、グレイ様、お帰りなさいっ」
息を切らし気味で声を発したジュビアに、グレイはプッと吹き出した。
「ただいま。家ん中で息切らすなよ、現役の魔導士が」
「すみませんっ」

グレイはジュビアに僅かな違和感を感じた。
よく見れば、顔は紅く目は潤んでいる。

「おい、ジュビア、大丈夫か?」
「え?何がですか?…一週間ぶりにグレイ様に会えるので、少しドキドキしてるだけだと思います…」
顔を指さしたグレイに、ジュビアはそう言って微笑んでみせた。



部屋着へと着替えたグレイは、テーブルについた。目の前のキッチンではジュビアがちょこまかと動きながら手際よく料理を進めている。
頬杖をつきながらグレイはほっこりとした気分に浸っていた。ジュビアと同棲を始めてからというもの、グレイはこの光景を見るのがすっかり好きになっていた。


「グレイ様!!今日はグレイ様と夕食をご一緒出来るので、張り切って作りました!!」
そう言ってジュビアは、オーブンから出したばかりのふたつのグラタン皿をトレイに乗せて振り返った。

と、そのとき、グラリとジュビアの体が揺れ一気に傾く。
「ジュビア!!」
咄嗟に手を出し、ギリギリのところでジュビアの体をグレイが抱き留めると、大きな音を立ててグラタン皿が叩きつけられ割れた。

「ジュビア!!?」
ワンピースを着ていて剥きだしの足には熱々のホワイトソースがかかっていて、白い肌をすっかり赤くしていた。

グレイはソースを拭き取り、魔力を集中させて赤く火傷した部分を氷で覆わせた。

はあはあ、と息を荒くするジュビアの顔を覗き頬に触れてみたグレイは、驚いて目を見開いた。

「お前っ…すげぇ熱じゃねぇか!!」
「あぅ…バレてしまいました…」
とろんとして潤んだ目で、ジュビアはぺろっと舌を出して見せた。
「今夜はグレイ様がお帰りになるので、美味しいご飯作ってお迎えしたくて…」
「…ばーか。いくら美味い飯を作って待っててくれてもな、お前がつらそうならなんも意味ねぇよ」

そう言ってグレイはジュビアを軽々と抱き上げ、寝室のベッドに横たわらせる。

「いま体拭くもんとパジャマ持ってきてやるから、ここで大人しく寝てろ」
「は、い…すみません、仕事帰りでお疲れのグレイ様にそんな…」
「いーから。寝てろよ」




ジュビアが愛用しているパジャマとタオル、それからぬるま湯を用意してグレイは寝室の戸をそっと開けた。

「ジュビア?」

のぞき込めば、すーすーと寝息を立てて眠っているジュビアの顔がある。

「確かに言ったが…ほんとに寝入っちまったのか」
それだけつらかったんだろうな、と1人納得し、ベッドの端にグレイは腰掛けた。

いつもは透き通るくらい白い肌はほんのりと赤く染まり、熱のせいでしっとりと汗ばむ顔には青い髪が張り付いている。
「…拭いてやらねーとな」

ぬるま湯に浸したタオルで顔と髪を丁寧に拭いてやる。不快感が和らいだのか、僅かに顔つきも穏やかになった。

「よし。で、こいつはどうするかな…」

グレイは用意してきたジュビアのパジャマをちらりと見た。

ジュビアが今来ているワンピースは脱がしやすそうではある。これなら起こさずに着替えさせられるかーーいや、でも、服を勝手に脱がすのは如何なものか。いや、しかし、此処に寝ているのは以前までの関係から脱却し想いを確かめ合った女、着替えさせるくらい問題ないかーーー

小さな電球の薄明かりの中、グレイは固まって悶々と考え続ける。




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