小説[リクエスト]

□熱い君に溺れる
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シャワーからは冷水が勢いよく出ている。
グレイはかれこれ5分以上、それを頭のてっぺんから浴び続けていた。

(…意識ねえくせに、反則だろーが)

ジュビアをパジャマに着替えさせるか否かずっと考え込んでたグレイだったが、先程ワンピースからパジャマへと替えることに成功した。
なるべく見ないようにはしていたが、やはり全く見ずにとはいかなかった。
ジュビアの下着姿は頭から中々離れてくれない。

「ん…ぅ、ぐれい、さまぁ…」
加えて、着替え途中で身じろぎしながらそんな艶っぽい声を紡ぐものだから、相手が病人だからといって健全な男としてはたまったものではない。

パジャマのボタンを掛け終えるとグレイは急いで寝室を出てバスルームに駆け込み、今に至るのだ。


(病人相手に興奮してんじゃねーよ、俺…)

下心はシャワーで汗と共に洗い流し、今夜は看病しなければと気合いを入れ直して、グレイはバスルームを出た。
ジュビアが熱のある体で自分の為に作ってくれてあったポテトサラダを空っぽの腹に少し入れ、薬箱をガサガサと漁って風邪薬を手にし、寝室へと戻る。

寝室はジュビアの熱気が籠もっていたためグレイは窓を少し開けて、ジュビアの顔を覗きこんだ。
すると、目を開けていたジュビアと至近距離でパチッと目が合う。

「ぅおっ!!…起きてたのか、ジュビア」
「グレイ様…ジュビア、今起きて…すみません、寝てしまったみたいです…」

申し訳なさそうに目を伏せるジュビアの頭をグレイは優しく撫でる。
「こんなに熱があるんだから寝ちまって当然だろ。気にせずもっと寝ろよ」

「いえ…グレイ様のおかげで少し楽になりましたから…ありがとうございます」
そう言ってジュビアは弱々しく笑った。
「…あれ?ジュビア、パジャマ…グレイ様、わざわざ着替えさせてくれたのですか?」

「え、あぁ…その、すまん」
目を合わせぬようにそう言うと、グレイの袖口をジュビアがそっと摘んだ。
「ありがとうございます、汗かいてたと思うので助かりました…」

普段のジュビアなら、自分が着替えさせたなどとカミングアウトすれば真っ赤になって焦り出すであろうが、今は穏やかに微笑んでいる。

「勝手に着替えさせて嫌じゃなかったか?」
「嬉しいです、そこまでしてくれて…。それに、グレイ様になら、ジュビアは…」
高熱のせいか何時もより素直なジュビアの言葉と赤い顔に、グレイの理性はグラリと揺れ出した。

(だから…っ、相手は病人だっつーの)

顔を見られないように横を向いてベッドに腰掛けると、ジュビアがまだ重たいであろう体をゆっくりと持ち上げ、グレイにきゅっと抱きついた。
「……っ!!じゅ、びあ?」
グレイの胸元に顔を押しつけて離れようとしないジュビアが、ごくごく小さな声で話し出す。

「…グレイ様、こんな我が儘言ったら、嫌われちゃうかもしれないですが…。ジュビア、淋しかった、です。一週間…」
「え?」
「グレイ様がいないと、朝も夜も、ずっと淋しくて不安で怖いです…」
ジュビアの顔をそっと上げさせると、真っ赤な顔で目を潤ませている表情が見えた。

高熱のせいで弱気になってるなとグレイは思ったが、これもきっと普段は決して自分に言ってこないジュビアの本心なんだなとも同時に分かった。

そんなことを考えてると、目の前の彼女が無性に愛しくなり、そのすべてを今すぐに自分のものにしてしまいたいという衝動にグレイは駆られた。

何も言わずにジュビアの後頭部に手を滑り込ませ、そのまま自分へと引いた。

「…んぅっ…!!!」
激しく彼女の唇を塞いでやると、その口からは声が漏れた。
ジュビアは息苦しさで逃げようとするが、離してやらない。


どのくらいそうしていたのか分からない。
ジュビアがぐったりと自分に身を預けたところで解放してやると、涙を浮かべた目でグレイを見上げた。

「ぐ、グレイ様…だめです、風邪がうつってしまいますから…」
「うつせよ。そんで元気になって今度はお前が俺を看病してくれ」

そう言って今度は甘くとろけるようなキスをジュビアへと降らせる。


「俺だって、お前がいない一週間、淋しかったんだぞ」



END









〜〜〜
あとがき

リクエストありがとうございました!
同棲グレジュビ、グレイが介抱する、甘々、キスありというのにチャレンジしました>_<
難しい〜
でも楽しかったです(●´∀`●)
またリクエストお願いしますね(*´∀`)
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