小説[リクエスト]

□初めての花言葉
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簡単に終わらせてしまった仕事の帰り道、物足りなさを隠しきれずに森の中を歩く男女の魔導士が2人。

「あ」
後ろから聞こえてきた声に、ガジルは一応振り向いてやった。

「なんだよ、ジュビア」
「見て、ガジル君。あれ」

ジュビアが指さす方には、変わった形をした赤紫の花が一輪咲いていた。

「あれがどうかしたのかよ。つーか、変な形の花だな」
「変じゃないです。錨の形をしてるからイカリソウっていう名前なんですよ」
「そーかい、で?そのイカリソウが何なんだよ」
花になどこれっぽっちも興味のないガジルが、ぶっきらぼうに答える。

「この花が良いですよ、ガジル君!!さっき言ってたレビィさんへのお礼」
「はあ?」

確かに先程ガジルはジュビアに、レビィへのお礼の品について相談を持ち掛けていた。

先日、ガジルはナツとの喧嘩に夢中になってギルドを破壊しまくった結果、エルザとミラジェーンにギルドの修復と清掃を罰として課せられた。
それを黙って手伝ってくれたレビィへ何かお礼をしようかと考えたガジルであったが、なんせ人にプレゼントなど渡したこともないし、ましてや女の子の喜ぶものなど思いつくはずもなく、気心の知れた旧友に聞いてみたというわけだ。

「なんでお礼が変な形の花なんだよ」
「ガジル君、花にはそれぞれ花言葉っていうのがあってね、花を贈るってことは、普段口では言えない言葉を一緒に贈ることが出来るんです…だから口下手なガジル君にはピッタリだと思う」
レビィさんなら花言葉にも詳しそうだし、と後からジュビアは付け足した。

「花言葉だあ?」
ガジルは眉根を釣り上げた。
「俺はそんなもん知らねえし興味もねえ。あいつだって野に咲いてた花一輪なんて喜ばねえだろ」

背を向けてさっさと歩き出してしまったガジルの背中に、ジュビアは慌てて声をかける。

「レビィさんなら喜ぶと思う!!ガジル君がくれた物なら何でも…。それに、この花の花言葉、ガジル君にピッタリだよ」


そう言ってジュビアの形の良い唇が何かを紡ぎ、ガジルはそれを理解する。


「…そんなこと言えるか」
「口で言わなくても大丈夫、そのためにお花を贈るんだから」
「………」






いつものように騒がしいギルド内で古文書を読みふけっていた少女レビィは、ふと顔を上げて窓の外を見、ため息をついた。

(遅いな…何かあったかな…)
(ガジルに限ってそんなことないよね、ジュビアも一緒だし…)

「おい」
いきなり背後から聞こえた馴染みの声に、レビィは急いで振り返った。

「が、ガジル!!いつ帰ってきたの?」
「今」

ぶっきらぼうな言葉はいつもと同じだが、心なしか目が泳いでいるとレビィは感じた。

「これ、やるよ。この前は、手伝ってもらって、悪かったな…」
途切れ途切れに言うガジルの差し出された右手には、赤紫の一輪の花。

「綺麗なイカリソウ…くれるの?…ありがとう!!」
そう言って花を受け取るレビィはふわっと優しく微笑んでいて、こんな花よりこっちのほうが綺麗じゃねーかとガジルは思ったが、照れくさいので言葉にはしてやらない。

「…この花言葉、ガジルの気持ちだと思っても良いのかな?」
「あ?…勝手にしろよ」
「えへへ…嬉しい」


そう言って微笑む少女の手の中で、赤紫色の小さな花は小さく揺れた。


END



〜〜〜
あとがき

リクエスト頂きましたガジレビです。
イカリソウの花言葉は[あなたを捕まえる]だそうです(≧∀≦)
駄文ごめんなさい…
良かったらまたリクエストお願いします!

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