小説[リクエスト]

□気がつけば青
2ページ/3ページ

「ジュビアっ!!!」

激しい吹雪の轟音を遮らんばかりのグレイの声が響いた。





その少し前、いつの間にやら2人は盗賊に四方を囲まれていた。
いつものように背中合わせになり、殺気を向けてくる男達をグレイは睨みつけた。
後ろのことは特に気にしていなかった。自分の背中を預けている後ろの少女の力を信頼しきっているからである。

「ジュビア。いつものことだが、俺の背中はお前に預けるぞ」
「…はい、ジュビア頑張ります」



グレイは両の手に魔力を集め、敵に向かって氷の刃を投げつけた。
攻撃しながらもジュビアの心地良い魔力を背中に感じていると、突然その魔力がぷつりと途絶えた。


驚いて振り返れば、雪の上に意識を手放したジュビアが倒れている。
そしてそのジュビアを標的に襲いかかる盗賊達の姿。

「ジュビアっ!!!」

グレイは叫び、咄嗟にジュビアの周りを氷で囲み盾を作った。
頑丈な氷のシールドに囲われたジュビアに近づくことも出来なくなった盗賊達は、標的をグレイへと移す。

突然倒れたジュビアが気がかりで早く駆け寄りたいグレイは、周囲を囲む男達をぐるりと睨むと、鬼神の如く魔力で次々と薙ぎ倒していった。


最後の1人をひれ伏させると、グレイはすぐに駆けよりジュビアを抱き起こした。

「んぅ…すみません、ジュビア、グレイ様のお役に立つどころか、足手纏いになってしまいました、ね…」
青白い顔で弱々しく微笑むジュビアに、グレイは怒鳴りつける。
「てめぇ、ジュビア!!何だよ、この熱さは!!熱があるならそう言いやがれ!!!!」

「す、みません…」
しゅんと縮こまるジュビアを、ため息をひとつついてグレイは抱き上げた。


「…ぐ、れいさま?何を…」
「あ?何って…ギルドに帰るんだよ。盗賊共は縛り上げてあるから問題ねえ。お前をまずギルドに連れて帰る」
「だ、大丈夫ですっ…歩きますから…」
「ばーか。黙って寝てろ」
「…うぅ」

そう言ってグレイは慣れた足取りで雪山を進み出した。



続きます→→→
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ