小説[リクエスト]

□出産育児奮闘記
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ナツとルーシィ、ガジルとレビィが産院に到着したのはしばらく経ってからだった。

分娩室の前にはウロウロと歩き回るグレイ。
「あれ?夫は立ち会い出来るんじゃなかったの?」
ルーシィが聞くと、グレイはぱっと顔を上げてこちらを見た。

「…ああ、そうだけど。何でも母体が危険らしくて処置のために外に出された」

「えっ!?」
淡々と言ったグレイの言葉に、四人は一呼吸置いてから驚き、慌てて詰め寄った。

「ちょっと…!!母体が危険って…」
「ジュビア、何があったの?!」
「赤ん坊はどうなったんだ?」
「全部話せ」
ガジルにまでまくし立てられて、グレイは一瞬たじろいだが、口を開く。

「とりあえず赤ん坊は無事。さっき取り出された。弱々しいが泣き声も聞いたしな。…ジュビアは、赤ん坊みた後で意識飛んで…」
そこまで話し、グレイは押し黙った。

「…グレイ?」
ルーシィが訝しげに名を呼ぶと、グレイはへなへなと床に座り込んだ。
「ちょっと…!!大丈夫?」

「あ、いや、すまん。…今になって、足が震えてきた」
見ると、グレイの握りしめられた拳はブルブルと小さく震えている。
ルーシィはレビィと目を合わせ、努めて明るく2人で声を出した。

「ちょっとちょっと!お父さんしっかりしてよ!!」
「そうだよー、ジュビア応援しなくちゃ!」
「あんたと赤ちゃん残して、ジュビアがいなくなるわけないでしょ」
グレイの肩をバシバシと叩きながら元気付けている妻を見ながら、ナツとガジルは一瞬目を合わせ小さくため息を漏らした。

ちょうどそれと同時に、処置室の扉が開いたのだった。



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