小説[リクエスト]

□黄金色の嫉妬
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自宅までの通りをトボトボ歩いていたルーシィを、香ばしい食欲をそそる匂いが包んだ。

「…わぁ、美味しそう」
ワゴンに色々な種類の焼きたてパンが湯気を立てながら並んでいる。
ぐぅ、と鳴ったお腹をさすりながらルーシィはいくつかのパンをトレイに載せた。

「…これ持って、後であいつの家行ってみようかしら」
嬉しそうにパンを頬張る顔を想像して小さく微笑んだのを、店主の女性に訝しげに見られていたのにルーシィは気づいていない。




一方ナツの家の前では、ナツとリサーナが向かい合って何かを話していた。
時折お互いにボディタッチをし、親しげである。
そんな2人を木陰からこっそり見ている猫が一匹。

「ハッピー?あんたそんなとこで何してるのよ」
「ルーシィ!!」
ハッピーは慌てて、紙袋を抱えたルーシィの目の前に来て視界を塞いだ。

「ちょっ…何よ、見えないんだけど」
「今は見ない方が良いと思うよっ」
「意味わかんないんだけど…っ!?」
やっとのことでハッピーを目の前からどかしたルーシィの目に飛び込んできたのは、親しげに話すナツとリサーナの姿。

「……。そういう意味ね」
ハッピーにも聞き取れるかどうかの小さな声でポツリと呟いたルーシィは、ナツ達にくるりと背を向け走り出した。
「あ!ルーシィ!!」

予想外に大きく発せられたハッピーの声に、ナツとリサーナが振り返る。
「ルーシィ?」
「やだっ、もしかして見られちゃった?」


1月の寒空には珍しく、まるで彼女の髪色を表しているかのような黄金色の太陽の光が燦々と眩しく印象的な日だった。


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