小説[リクエスト]

□青い記憶
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数日前、ルーシィはギルドでジュビアを仕事へと誘っていた。

「え?ジュビアとですか?」
「そうよ!見てこの討伐系の依頼書〔水、氷系の魔導士求む〕ですって、ジュビアにぴったり!あたしもアクエリアスでサポートするからっ」
ルーシィの勢いに押されて、ジュビアは頷いたようだ。
「…良いですよ。でも、難易度が結構高めの仕事みたいですね」
「ん、そうなのよね。ジュビアとなら大丈夫かと思ったんだけど…」

「グレイも連れてったらどう?ちょうど水、氷系の魔導士募集なんでしょ?」
カウンターの中からミラジェーンの声が聞こえる。
「それが、さっき断られちゃったんですよ。先に入ってる仕事があるらしくて」
不満げな顔でルーシィがミラを振り返る。
「あら、残念…まあ、確かにジュビアとなら大丈夫だとは思うけど。でも気を付けて、女2人だと危ないこともあるからね」

ミラジェーンの言葉に気合いを入れた2人は、簡単な支度をしてギルドを出た。


駅へと向かう途中、間違うはずのない人の姿にジュビアは足を止める。
「グレイ様?」
「え、どこ?」
「あそこに…」
ジュビアが指を指した先をルーシィが見ていると、グレイの姿が近づいてくるのがわかった。
「…よくわかったわね」
「当たり前です」

「よお、さっき言ってた仕事か?」
「そうよ、あんたに断られたから、か弱い女子2人で行ってくるんだから!」
つん、と拗ねたようにルーシィがそっぽを向きながら言う。
「か弱い?ルーシィはともかく、ジュビアの強さなら平気だろ…」
呆れたように放たれたグレイの言葉に、ジュビアは返事はせず悲しそうな顔で微笑んだ。
「女の子にそういうこと言わないの!もしあたし達が襲われたらグレイのせいにしちゃうからね〜」
冗談交じりでルーシィが笑う。
「お前が攻撃されそうなら、水の体のジュビアが庇ってくれるだろ。…じゃ、俺も仕事だから行くわ。頑張れよ」

軽く手を挙げグレイは足早に去っていった。

「…あたし達も行こっか、列車に乗り遅れたら大変だわ」
先を歩き出したルーシィの背中に向かって、ジュビアは慌てて声を掛けた。
「ルーシィ!…ルーシィのことは、ジュビアが命を懸けて守りますから、グレイ様のせいにはしないでくださいね」
「…ジュビア?」

ジュビアの、何とも表現し難い表情にルーシィは違和感を感じた。



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