小説[リクエスト]

□出産育児奮闘記2
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ジュビアとガジルと共に仕事先へ向かっていたリリーが単独で戻ってきたのは、その日の夜だった。


「ジュビアはまだ帰れそうにない。だが軽い腹痛…前駆陣痛とやらが始まっているようでたまにつらそうな顔をしている」

ギルドの扉をくぐるなり、グレイの目の前まできたリリーは、心配しないでくださいねとも言っていたな、と付け足した。


まだまだ幼く母親がいないと上手く寝付けない息子を、皆の協力も得てようやく寝かしつけたばかりのグレイが、がたりと静かに立ち上がった。
「…俺も行く」

「…グレイ。気持ちは痛いくらいわかるけど、あんたまでいなくなったらシルバはどうすんのよ?」
「強がってるけど、ほんとはジュビアがいなくてすごく心細いんだよ」
「今まで母親と離れたことなんてなかったものね…」
その場に居合わせたギルドの女性陣が、次々と言葉を発する。


「そんなことは、わかってる、けどよ…」
途切れ途切れに呟きながら、グレイはそろそろと椅子に腰掛けた。
左手の薬指でキラリと輝く妻との愛の証を、右手でそっと弄りながら、グレイはギリッと奥歯を噛みしめた。

(ジュビア…)




続きます→→→

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