短編

□偽り
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ちゃんと、理解しているつもりだった。



頭では、ちゃんと…







偽りの弟を演じることは、僕の大事な任務だし、初めはいつも通り楽にこなせると思っていた。



けど、信じられなかったんだ。




僕の名前を呼ぶ声も、あの優しい眼差も、どれを取ってもゼロとは結び付かなくて…



家族なんて知らない僕が、
家族なんて、いらないと思っていた僕が、




兄弟って…

家族っていいなって…


そう思えるようになったのは、この人のお陰なんだ。




だから、失うのが怖いんだ。



例えたった一人の、偽りの兄だとしても───



「兄さん…っ…はぁ」



何処にぶつければいいかわからない、この感情はなんだろう?




どうして、僕はあの人を思い浮かべて、こんな事をしているんだろう?



わからない。




それでも、手が勝手に動いて、毎晩身体が熱くなる。



脳裏に浮かぶ、兄の顔。


偽りの兄の顔。




この感情は何?



誰が答えてよ。




「兄さんっ…兄さ…ぁ…はぁ」




頭ではわかっているのに…



身体があなたを求めて、言うことを聞かないんだ。




ねぇ、兄さん…



僕はあなたのたった一人の弟だよ。




偽りだらけの僕にあるたった一つの真実。



それはあなたを求める、この感情…ただ一つ。







END




2008.04.21 up




TURN3を見た後の妄想、ロロ→ルルでした。
 

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