短編
□顔 の 力
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「天子様、もう泣かないでください」
「だって…また星刻と一緒にいられるのは嬉しいけど…」
「けど…?」
「ゼロの顔がもう見れないのが悲しくて…」
「はい!?」
顔 の 力
ディートハルトが女子たちに怒られ、逃げたゼロが戻ってきた。
星刻とゼロが握手をしたことで、中華連邦との同盟が約束されたかと、思ったのだが…
「ゼロ、頼みがある」
『ん?なんだね?』
現実は甘くない。
「是非、君の顔を見せてくれないだろうか。」
『は?』
星刻は、天子様があまりにゼロの素顔を絶賛したため、どうしてもゼロの顔を見たくなっていた。
「おいおい!何言ってんだよ!ゼロの顔は、親友の俺ですら見たことがないトップシークレットなんだぜ!?」
遠くの方で玉城がコチャゴチャ言っているが、星刻は全く気にしない。
「君が顔を見せてくれるなら、私は永遠の友情を君と約束しょう。もちろん、中華連邦としても、天子様と共に君たちに全力で協力させてもらう…」
星刻の瞳は真剣そのものだった。
命よりも大切な天子様が、泣くほど美しい男だなんて、この目で確かめなければと…ある意味、嫉妬である。
「何言ってんだ!!ゼロがこの俺を差し置いて、お前なんかに見せるわけ…」
『いいだろう。』
「「は!!?」」
C.C.以外のその場にいた団員たちは皆目を見開いた。
『では、とりあえずこちらに来てくれ。さすがにここでは外せない』
「それもそうだな。天子様、あなたはここで少し待っていてくださいね」
「嫌!私も行く!もう一度ゼロの顔が見たいわ!」
「いいえ、天子様。あなたはここで待っていてください。私はゼロと二人きりで話がしたいのです…」
「わかったわ…」
しゅんとして、天子は星刻の言うことを聞いた。
「ではゼロ、行こう」
『あぁ、そうだな』
ゼロと星刻が二人並んで機内へと向かったが、玉城がそれを必死に食い止める。
「ちょっと待てよ!俺は認めねぇぞ!!親友の俺ですら見たことがないってのによォ!!どういうつもりだ!!」
『お前より、親友になれそうだからだ。』
キッパリとそう告げられて、玉城は何も言わなくなった。
* * *
『ここなら誰も来ない。星刻…』
「なんだ?」
『先ほどの話、本当だな?』
「君たちに協力すると言う話か?」
『違う、その…永遠の友情の話だ』
「あぁ、本当だ。私は親友を裏切ることはしないし、したくはない」
その言葉にゼロは安心したのか、少し雰囲気が変わった。