短編

□顔 の 力
1ページ/2ページ





「天子様、もう泣かないでください」



「だって…また星刻と一緒にいられるのは嬉しいけど…」



「けど…?」



「ゼロの顔がもう見れないのが悲しくて…」




「はい!?」




顔 の 力




ディートハルトが女子たちに怒られ、逃げたゼロが戻ってきた。

星刻とゼロが握手をしたことで、中華連邦との同盟が約束されたかと、思ったのだが…



「ゼロ、頼みがある」


『ん?なんだね?』



現実は甘くない。



「是非、君の顔を見せてくれないだろうか。」


『は?』



星刻は、天子様があまりにゼロの素顔を絶賛したため、どうしてもゼロの顔を見たくなっていた。




「おいおい!何言ってんだよ!ゼロの顔は、親友の俺ですら見たことがないトップシークレットなんだぜ!?」



遠くの方で玉城がコチャゴチャ言っているが、星刻は全く気にしない。



「君が顔を見せてくれるなら、私は永遠の友情を君と約束しょう。もちろん、中華連邦としても、天子様と共に君たちに全力で協力させてもらう…」



星刻の瞳は真剣そのものだった。


命よりも大切な天子様が、泣くほど美しい男だなんて、この目で確かめなければと…ある意味、嫉妬である。




「何言ってんだ!!ゼロがこの俺を差し置いて、お前なんかに見せるわけ…」



『いいだろう。』



「「は!!?」」



C.C.以外のその場にいた団員たちは皆目を見開いた。



『では、とりあえずこちらに来てくれ。さすがにここでは外せない』


「それもそうだな。天子様、あなたはここで少し待っていてくださいね」



「嫌!私も行く!もう一度ゼロの顔が見たいわ!」



「いいえ、天子様。あなたはここで待っていてください。私はゼロと二人きりで話がしたいのです…」


「わかったわ…」


しゅんとして、天子は星刻の言うことを聞いた。



「ではゼロ、行こう」



『あぁ、そうだな』



ゼロと星刻が二人並んで機内へと向かったが、玉城がそれを必死に食い止める。


「ちょっと待てよ!俺は認めねぇぞ!!親友の俺ですら見たことがないってのによォ!!どういうつもりだ!!」


『お前より、親友になれそうだからだ。』



キッパリとそう告げられて、玉城は何も言わなくなった。





* * *




『ここなら誰も来ない。星刻…』



「なんだ?」


『先ほどの話、本当だな?』


「君たちに協力すると言う話か?」


『違う、その…永遠の友情の話だ』



「あぁ、本当だ。私は親友を裏切ることはしないし、したくはない」


その言葉にゼロは安心したのか、少し雰囲気が変わった。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ