彼と彼女の攻防戦
□STAGE-1 『君 と 出逢った 日』
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あれは確か、いつものようなチェスの賭け試合の後のことだ。
降ったり止んだりを繰り返していた雨が、激しく音を立てて降りだした時、俺はあいつと出逢った。
「待てゴラァっ!!」
「金返さんかいっ!!」
見るからに、ヤクザだろう…あれは。
奴らが街中を必死に追いかけていたのは、一人の女だった。
いや、少女と言うべきだろうか?
傘を持っていない彼女は、全身ずぶ濡れになりながらも、必死に逃げている。
俺はしばらく立ち止まって、その様子を少し離れたところから見ていた。
今思えば、あんな見ず知らずの他人のことなんて、気にするべきではなかったのだと思う。
しかし、うかつにも彼女と目が合ってしまった。
その途端、彼女は俺を目掛けて走って来る。
「おい!そこのお前!」
「はっ!?」
彼女は俺の手をつかんで、走り出した────