(光の夢物語)

□五話:黒い煙
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黒鳥の背に乗っている赤悪無は燃え盛る城下町を見下ろした
『やはり、こうなったか』
「なんだ?この町が燃える夢でも見たのか」
黒鳥の言葉を耳にし考える
たしかに町が燃える夢は見た
しかし…それよりも

『主に…あいつ等の危機をだがな…』
「は?」
ボソッと呟いた赤悪無に何を言ったのか聞き返そうとしたら
背から飛び降りた

「お、おい!赤悪無!!」
主人の突然の行動に驚き、急いで急降下する

そのころ城下町では
星龍ガンダム軍の四獣達は消火に手間取っている

「くそ!なんで消えねぇんだよ!!」
来虎が叫ぶ
しかしその叫びはむなしく消える
ガンダム軍の兵士たちになんとか住民を避難誘導をさせているが
どこまで住民を避難させれるか疑問だ

四獣の背後に立つ一つの影はゆっくり四人に近づき
クナイを構える
四人に向け投げられたクナイは黒くなっている
影は「仕留めた」と思った
しかし、クナイは四人に届く前に何者かに落とされた

「何!?」
影はつい声を荒げてしまった
それに気づいた四人は振り返り影ともう一人
先ほど黒鳥に乗り飛び立ってしまった赤悪無だった

「赤悪無!?どうして君が!」
先ほどまで自分たちに冷たい視線を送っていた赤悪無がなぜかいる
それに疑問に思ってしまった

『別に、ただ俺はあいつに用があるだけだ」
そういって赤悪無は自身の武器である槍を相手に向けた

「貴様は…あの時の武者か…こんなところで会うとは奇遇だな」
その影は朱公だった

『なるべく会いたくなかったんだがな俺は…おい!四獣ども!コイツの相手は俺が引き受ける、お前らはとっとと住民を避難させろ!』
「わかっている!」
龍洸熱の指示でそれぞれ行動に移った
残ったのは朱公と赤悪無のみ

「いいのか?五人でかかれば俺を倒せるかもしれなかったんだぞ?」
『その必要はない」
槍を構え直す赤悪無、そしてクナイを装備する朱公
投げられたクナイは槍によって薙ぎ払われ
宙を舞う
そして赤悪無もまるで舞っているかのように美しい

接近して槍をつくが避けられ、また距離をおきクナイを投げられる
それの繰り返しだ

「なるほど、貴様…そうとう槍を使いこなしているな、見た目は20前半……そんな槍を使いこなせるにはもっと長い年月が必要なはずなのに、貴様はそれ以上の動きを見せる……面白い」
『喋るな、気色の悪い……』
「ククッ……こんな業火の中よく言えますね…熱くないのか?」
『別に、俺は何も感じない=x
その言葉に一瞬戸惑いを見せた朱公だった
何も感じないわけがない、この業火
いくら熱に対して耐性があったとしてもあいつ″の術≠ノよって生まれたこれを感じないわけがない
どうしてだ?
考える、そして一つ思い当たる節があった
しかしあれ≠ヘ無力だったはず
だが、それしか考えられない
なら話は簡単だ、試せばいい
朱公は懐から何かを出した
警戒した赤悪無は間をおいた
それは、自身が憎いと思っていたあの水晶と同じ…
いや、少し違う
あれより劣っている物だ

「お前に試したいことがある」
不気味に笑みを浮かべる朱公を気味悪るがる
水晶は一瞬光る、中で蠢く黒い煙が濃くなっていく

そして赤悪無は自分の体の気づく
『あ…あぁぁぁぁぁあああああ!!!!!』
自分の中で黒いものが蠢く、それはまるで体の内から蝕んで行くように
苦しい苦しい!!ただそれしか言えなかった
そして赤悪無は思い出す
これは前までやられていたことを
しかしこれは自分が持っている水晶でしかできないと思っていた

「あはははははは!!!やはり!貴様か!貴様だったのか!!夢丸=I随分と変わったなお前!なるほど、自分の認識を水晶で誤認≠ウせていたな……よくよく見れば貴様の目はだな、気付かなかったぞ」
『くそ…くそがぁ…!!』
手を強く握り絞める赤悪無は立ち上がろうとした
しかし、体に力があまり入らない

「ふむ…完全に心を壊すことが出来ないか…まぁいい、それは貴様を連れ戻せば解決することだ」
ゆっくり近づく朱公から離れようと赤悪無は悶えるかそれは叶わない
どうするかと考えた時
煙が突然噴き上げた
「大丈夫ですか!」
煙から現れたのは星楽だった
『お前…どうしてここに…』
「話はあと!黒鳥さんが外れで待機してます!」
すぐさま二人はその場から消えた
そして煙が晴れ残されたのは朱公だった

「っち…逃したか…まぁいい、奴らの居場所など、どうせあそこしかない」
そうつぶやき朱公も姿を消した




「大丈夫ですか赤悪無さん…」
「お前!ほんと、危ないぞ!!もうすぐで!!」
『あー黙れ黙れ……頭が痛いんだ……』
「おま!」
『ほんと……きもち……わりぃ……』
赤悪無は倒れてしまった

「キャー!赤悪無さん!」
「お、おい!赤悪無!?」

赤悪無は深い深い眠りについた
眠る瞬間、今はだいぶ年取ってしまったんだろうなと思う兄を思い出した

続く

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