FAIAY TAIL
□依頼の仕事
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「くはぁ〜〜」
穏やかな風、暑くもなく寒くもなく温かな気候。
ゆらゆらと揺れる小舟の心地よさにアリーサは、大きな欠伸を一つ。
そんな姿に小舟を漕いでいた男は苦笑いを漏らす。
「気持よさそうだねぇ、ねえちゃん」
「ん〜?まぁのぉ…こうもポカポカ陽気じゃと気持ちよくてのぉ」
「(可愛い子なのに、ジジくさい喋りだなこの子)」
ググッと背伸びをするアリーサに、男はおしい子だなぁなんて呑気に思いつつ目的地へと小舟を進める。
「(じい様が求める情報があの島にあるといいが…)」
うっすらと片目をあけ近づく島を盗み見る。
とあるギルドのマスターから、ある依頼をされたアリーサは、ある事を確かめるために遠いあの島へと向かっていた。
ーーーーーーーー
「ほれ着いたぞ、ねぇちゃん」
「んん?」
男に起こされたアリーサは、はっと起き上る。
覚醒しきれていない頭をどうにか押さえながら辺りを見渡せば、人々が行きかう港の風景が視界に入る。
軽く寝るつもりが、ぐっすりと眠っていたらしい。
「う〜〜ん…よー寝たぁ」
小舟から、降りたアリーサは背伸びをして溜息を一つ。
賑やかな港を満足そうに見渡すその姿に、男は声をかける。
「ここの島は、夜になったら危険だから気をつけてな」
「ああ、気をつけるよ。忠告ありがとう、おじさん」
そう言ってにっこり笑うと、アリーサは背を向けて立ち去ってしまった。
「て、宿は何処にあるんじゃ」
街灯もあまりない町はずれの場所にアリーサは途方に暮れ立ち尽くしていた。
周りはすでに暗くなっており、人の姿なんてもうとっくに見当たらない。
小舟に揺れながら、男からすぐ近くに宿があると聞き、男の言葉通りに来てみたはいいが、その宿が見当たらない。
「…これは迷子か?」
少し考え込んだ結果の答えは、あまりにも情けない答えだ。
この年で?まさか、あり得ない。
そう思いたいが、アリーサの現状は宿に着いていない。それがいい証拠である。
「ううん…どうしたもんか」
「どうしたもんかじゃねぇよ!」
悩むアリーサ耳にガサッとした音が耳に届く。
「…ん?お前さんは誰じゃ?」
茂みから出てきたのは、いかにも悪そうな男たちだ。
「ねぇちゃん、こんな夜遅くに男が三人って言えば、あれしかねぇだろうが」
「ふぅん?」
「(こ、こいつ!)」
自分で聞いておいて、興味がありませんという態度に男達は愕然とする。
その態度に男達は、相手が女と言うことを忘れ手に持っていた武器を構え、襲いかかってきた。
「おお?女一人に、襲いかかるとは野蛮な男たちじゃの」
腰に装着している刀の柄に、手を添え戦闘体制にはいるアリーサだったが、ふとあることに気づく。
「おい!何余所見してんだ!」
「さっきからムカつく女だぜ!!」
「女らしく悲鳴あげてみな!!」
「それは無理なお願いだな」
カッ!!
男の声と共に、夜空が眩しいくらいに光る。
その場にいた全員が夜空を見上げると、三人組は一気に青ざめ、逃げようとするが、もみくちゃになり逃げる事が叶わず、半泣き状態で抱き合う形で、雷が落ちてしまった。
「「「ぎ、ぎゃーーーーー!!!!」」」
ズドンッ!!!!
ぷすぷすと煙を上げながら、真っ黒焦げになった体が、地面に倒れ込んだ。
アリーサは、興味が失せたのかくるりと振り返った。
「何じゃ、お前もいたのか」
―――ラクサス、
「俺がいちゃあ悪いかよ、情報屋アリーサ」
「はは、相変わらずじゃのう。久々の再会なのに、感動の涙はないのか」
「この俺に泣けとでも言うのか」
「…寂しい事を言う奴め」
ふざけるな、と憤慨するラクサスをアリーサはただただ、穏やかな目で眺めるだけだった。
「それで、お前がここにいると言う事は、あの三人もいるのか?」
「…あぁ、まぁな。酒飲んでぶっ倒れているがな」
あまり触れたくないのか、明後日の方向へ視線が行っている。
そんな姿に苦笑いしつつゴホンと咳払いする。
「いつからこの島にいる?」
「あ?三日前からだ」
「ここで、おかしなことを見聞きしなかったか?」
「…いや、見聞きしてねぇ」
ラクサスの言葉に、ふむ…と考え込んだアリーサ。
「何かあんのか、この島に。」
「ん?あぁ、じい様の依頼でここの島を調査に来たんじゃ」
「やっぱじじいかよ…くそっ」
「まぁ今回はな。お前の仕事は邪魔はしないよ、ラクサス」
「…あんたの仕事もってことか」
「分かってるねー、ラクサスくん」
ニッコリと微笑むアリーサに、壮大な溜息を吐く。
「…いい加減、入れよ。うち(FT)に。」
「んー…まぁその内にな」
ひらひら手を振りながら、その場を去るアリーサの背中を恨めしそうに見つめる。
「(アリーサ、あんたが入ればフェアリーテイルは安定する。何故それが分からねぇんだ。あのクソじじいだってそうだ)」
―――弱体化してしまったギルドを立ち直せなければ。弱いギルドはいらねぇんだ。
END...