FAIAY TAIL

□黒猫が横切ったら何とやら。
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「少年、そんなに慌てとるんじゃ?」
「っ病気にかかって死にそうな妹がいるんだ…!」
「その妹に、薬草をって事じゃな」


ボロボロと涙流す少年に、赤い子猫は、申し訳なそうな顔になった。


「ごめん、その薬草は人間には、毒なんだよ」
「え…?」
「人間にだ効くなんて、誰かが言いだしたか分からないけど、その薬草は、特殊な種族にしか効かない薬草なんだ」
「そ、んな…じゃぁ僕は、なんの為に…」


ガクッとショックを隠せきれない少年に、子猫も居た堪れなくなりポロポロト涙を流す。


「この少年には意味がなくとも、私には用が、あるんじゃが。」
「え?でもここの薬草は…」
「お前さん、私と一戦交わったのに、分からんのか?」


子猫は、首を傾げるが、すぐにあっと声を上げる。


「絶滅寸前と言われている大神一族か!」
「大正解じゃ。私と契約してる一人が、病にかかってるんだ。その薬草少し分けてほしいじゃが…」
「分けるだなんて!!ここにある薬草は、全て持って行ってくれ!」
「え?いいのか?」
「うむ!僕が卵から孵った日に、ここの護り神が言ってたんだ!」
「護り神?」
「うん!もう何百年、生きてた大神で、もう寿命で亡くなってしまったけれど…で、その護り神がね、いつかこの地に大神の力を持った人間の女子(おなご)がやってくるって言ってたんだ」


これでもかと言うぐらいに目を輝かせる子猫。
今ここで起きてる現実に興奮を隠しきれないのだろう。


「何百年も生きてる大神なんて、聞いた事がない…!いや、ここの不思議な力で満ちている地下では、ありうるか…」


アリーサも、興奮を抑えきれないのか、目を輝かせている。
が、はっと我に帰る。


「その長生きな大神には、いくら感謝してもしきれないな」
「ふふっ。彼の願いを叶えられて、僕は満足だ」
「そうか…それは良かった」


満面の笑顔の子猫に、アリーサも笑顔で頷く。
そして、アリーサは未だにグスグスと泣く少年へ振り返る。


「さてと、少年。早く行くぞ」
「え?何処へ?」
「じい様の知り合いに、腕が確かな医者がいるんじゃ。そこへ連れていく」
「それって…」
「ああ、お前さんの妹の病気を治せるかもしれん」


ニヤリと笑うアリーサに、絶望だった表情から、希望に満ちた笑顔に変わった。






「ありがとう!!魔導師のお姉さん!!」
「ふふ…喜ぶのはまだ早いぞ、少年」






あまりにも眩しい笑顔に、アリーサはくすぐったい気持になり、照れ隠しに少年の頭ぐしゃりと撫でまわした。










END
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