GIANT KILLING
□貴方が魅せるサッカーが早く観たいのです
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「へぁ?達海 猛が、帰ってくる?」
パソコンと睨めっこしていた洸が、驚きを隠せない顔で、後藤の顔を見る。
「ああ、帰ってくる」
少しやつれた顔でそう言った後藤の表情は、なんだか誇らしげに見えた。
今まで見たこともない表情に洸は、あながち嘘ではないんだと思った。
「…本当ですか?」
「本当だよ」
「ほんとのほんと?」
「ああ、ほんとのほんと」
けれど、すぐには信じきれなくて、これでもかと言うぐらいに何度も確認する。
しつこく聞く私に、後藤さんは苦笑いしつつポンポンと私の頭を撫でる。
「私も行ったんだから、本当よ」
後藤の横で、一部始終を見ていた有里も参加。
心なしか不満そうな表情だったが、なんとなく察しがついた。
「(達海さんに、散々振り回されたんだろうなぁ)」
もう十年は会っていないのに、なんだか想像がつく。
「(ああ、でも…)」
これから楽しい日々が始まるんだ。
貴方が魅せるサッカーが早く観たいのです。
(サッカーを心から楽しむ、あの達海が帰ってくるのだから。)
「あ、でも、達海さん。良く見つけましたね」
なかなか見つからないって、電話で言ってたのに。
洸の言葉に、後藤だけだなくその場にいた有里も顔が、いっきにやつれ暗くなってしまった。
「(あ、地雷を踏んでしまった…)」
本当に苦労したんだな。と、なんだか申し訳ない気持ちになった洸は、思わず「ごめんなさい」と思わず謝っていた。
END