きみとみる世界
□有望なる者達
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バッジ集めと図鑑を埋め、そしてプラズマ団を潰す旅。
4つ目のバッジはルーナ曰くヒウンシティ方面に戻らないとならないそうで、夢の跡地を出た後すぐに、サンヨウシティも後にした。
さっき夢の跡地で会ったあのNとか言う緑髪の奴、あいつがプラズマ団のトップらしい。
トモダチがどうたらこうたら言っていたが、ともあれ“ポケモンの解放”とやらを提唱しているのは、こいつで間違いない。
(そのブレスレットは、間違いなく他の地方のトモダチのものだ。)
「……。」
隣を歩くルーナのブレスレットを見る。
薄桃色の、真珠のブレスレット。
特に気を止めた事はなかったが、ルーナはNに指摘されたとき、守るようにブレスレットを握り締めていた。
その“トモダチ”とやらは解らないが、ブレスレットがルーナにとって大事なものな事は確かなようだ。
「どうしたの?」
気が付くと、ルーナがレッドを不思議そうに見ていた。
思考に耽っている間、ルーナを凝視してしまったよう。
慌てて帽子の鍔を下げ、何でもない と言うと、そう? と首を傾げる。
「お腹空いたりしたら、言ってね。」
にこりといつも通りに笑って、ルーナは再び前を見た。
ポケギアの時間を見ると、もう正午に近い。
自分はまだまだ余裕だが、ルーナはどうなんだろうか。
「それ、カントーのやつ?」
ルーナがポケギアに気付き、興味深々に聞いてくる。
正確には隣のジョウト地方から、カントーに流れてきた代物…だと思う。
グリーンに半ば投げ付けられるように渡されたが、使い方を覚えるのに苦労した。
連絡しろとも言われたが、このポケギアを電話の用途で使用した事は無い。
とりあえず、自分が知ってる僅かな事を簡潔に言うと、それだけでルーナは納得したように声を上げた。
「こっちの地方のはね、ライブキャスターっていうの。」
右手手首にはめられた、腕時計の様なものを示して、ルーナもそのライブキャスターなるものの話をしてくれる。
ポケモンセンターにある電話のように、話している相手の顔が最大四人まで表示されるそうだ。
科学の力ってすごい。
他愛もない会話をしつつ、ゲットしつつ歩いていくと、シッポウに戻ってきた。
まずはポケモンセンターで昼食を取ろうという話だったが、何か町の様子がおかしい。
奥にジムのある博物館の前に人だかりができていて、中心に先程戦ったジムリーダーの姿が見える。
ルーナが走り出した後を追い、そちらへ向かった。
「アロエさん、何があったんですか!?」
「あれ、確かあんたは…さっきの、ルーナ。」
シッポウジムのジムリーダー、アロエがきょとんとルーナを見る。
ルーナはアーティとは親しげだったが、アロエとはそうでも無いようだ。
「ドラゴンのホネがプラズマ団に盗まれたんだよ。
今アーティとトレーナーが二人、ヤグルマの森へ追いに行ってる。」
アロエは顔を歪め、情けないよ、と吐き捨てるように言った。
「ルーナ。」
「うん。
アロエさん、私たちも行きます。」
「あんたたちも?」
アロエは少し目を見開いて、ルーナとレッドを見る。
「あの三人でも十分だと思うけどね…。万が一の事もある。
お願いするよ。」
「はい!行こうレッド。」
「…。」
町を出て道なりに進んだ先、そこにプラズマ団が逃げ込んでいる。
二人はヤグルマの森へ向かった。