研究所奮闘日記〜仕事より大変なのはちび共です〜

□晴れ。水、ダメゼッタイ。
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「ふああ〜、できた…っとぉ!」

事務椅子の上で思いきり体を伸ばして、がたんっと立ち上がる。
博士に頼まれた資料の束を整えて、愛用のペンを白衣のポケットに戻そうとひょいと手に取る。
だが、明らかにペンの感触ではないものが肌に触れた。

ぐにゃぐにゃしたような、妙に生暖かいような…。
不思議に思って手のひらに乗ったペンを見ると、そこには。

「…ガム?」

いつだ。いつあたしの愛用のペンにガムを巻き付けやがった。
だけど犯人は判っている。
というか、この空間にいる。
後方の本棚の影、必死で笑いを堪えている気配がひとつ。

よし、取っ捕まえてこめかみグリグリの刑にかけるとしよう。
あたしのペンの仇、取らせてもらうわ。

パキポキッと指の骨を鳴らして、そっと本棚へ忍び寄る。
覗き込むと、案の定音を立てないよう笑い転げる影と、無関心に本を床に広げている影が。

あたしは満面の笑みを浮かべて、二つの影に近付いていく。
本を広げていた影が直ぐ様あたしに気が付いて、もう一人に伝えようと背中をたたいたけれど、もう遅い。

あたしはもう思いきり、息を吸い込んでいた。

「くぉらグリーン!!あたしの愛するペン子ちゃんにガム巻くたぁ、今度こそ覚悟できてんだろぉなあ?!!」

「げっ!リンカ!!
おいレッド、リンカがこっち来たら教えろっつっただろーか!なに本広げてんだ!」

「背中、叩いた。気付かなかったグリーンが悪い。」

「だったら気付くまで叩けよ!」

目を落とした本から顔を上げようとはせずに淡々と言うレッドくんに、グリーンくんが怒鳴りつつ逃げようとするが…遅いっ!

「目標確保!!」

「あ゛ーっ、レッドおまえのせいで捕まっただろーが〜!」

「じゃあかしいお黙り。罪もないレッドくんのせいにするなど、言語道断!!
さぁて今日は、こめかみぐりぐりの刑を執行してやるわ!!覚悟なさい!」

慌ててあたしから逃げようとするけど、絶対に放してやるものか。
本当は毛布スマキの刑でペン子ちゃんの気持ちを体感させつつ、頬っぺたを思いきりつねってやりたいけど、以前やったら見事にころがるを受けたんだよね…。
何て言うか、うん。
ターン数が重なる度に、自分のプライドに深ーい傷が刻まれていくっていうか…。いやー、あれはショックでかかったなあ。
まさかスマキにされた6歳児にのされるとは思ってなかった。

ま、後でかるーく捻ってやったけど。

「つーかさ、リンカってまじでバカだよなー」

今までじたばたしていたグリーンくんがいきなり大人しくなった。
そしていきなりバカ呼ばわりされた。

「はぁ?あんたの方がバカでしょ。本棚の影で笑い転げるとか、バレるに決まってんじゃない。」

「だからバカなんだよバーカバーカ!
リンカにどうすりゃバレるかなんて、おれさまには判ってるもんなーっ!」

こめかみにあたしの拳をスタンバイされたまま、ドヤアッと笑うグリーンくん。
なんだこいつイラっとくる。

でも何だか気になるな今の言い方…まさか…

「囮!!?」

バッと後ろを振り替えると、さっきまで本を読んでいたレッドくんがいない。

しまった、どこいった!

と、何故か本棚脇の窓が開いている。 そして何故かホースが通って…

ホース!!?

「いっけーレッド!
ハイドロポンプだ!!」

グリーンくんが叫んで見上げた本棚の上。
レッドくんが無表情で水撒き用カートリッジの引き金を引く。
しかも最大出力の、スプリンクラー。


こ こ は 水 厳 禁 で す


嗚呼、もうあたしの助手人生、終りだ…。

でも、これだけは言わせて神様。

せめて

「無表情はやめたげてえええ!!!!」


レッドくんの放ったハイドロポンプが、あたしの胸に直撃した。

その後。グリーンくんとレッドくんは、オーキド博士並びに保護者の方々にこってりしぼられた。
何故かあたしも。
幸い本やパソコンは、ちょっと濡れたのもあったけど全部無事だった。
こんな幸運、もう絶対二度と起こらない。

「あーあ、リンカのせいで怒られちった。」

「さっきリンカ、ぼくに罪ないっていった。
何で怒られた?」

ブチッ

「こんっの…!クソガキ共ーーっ!!」

ちなみにあたしは、ここに来て二週間も経ってない。


――――――

はい。だいたいこんなノリで書いていきたいと思ってます←

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