混合夢

□ふたりのヒーローと王子様
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彼女の名前に連絡とれなくなった夏休み。

いつもなら声を裏返しながら俺の電話を喜んでた癖に彼女は急に連絡がとれなくなった
折り返しの電話もバイト先にも暫く休暇をとると連絡がきたと言っていた

2日、3日はなんとか落ち着いていられたもののもう一週間ともなるとどうも落ち着かなくて仕事も失敗ばかり。

見てられないマスターが俺に休みをくれた




「(全部あいつのせいだな…あったらチョップだ
いや、それも甘い…)」



ブツブツ考え事をしていたら肩がぶつかった

咄嗟にすみません。と謝るとぶつかった相手は愛しい彼女。



「あれ、瑛くん!」



夏らしい布の少ない服に身を包んで嬉しそうに声をかけた

どこか安心して良かった、と心で呟いた



「あれ?誰?」



そこにいたのは名前だけじゃなかった

男ふたりが名前を囲んでる
ガラの悪そうなのとまぁ、イケメンのその男は名前に馴れ馴れしく触った



「瑛くん!わたしの彼氏だよ」


「あァ?彼氏だぁ?
オマエ、見ない間にそんなんつくってたのか」



最近つくった男友達では無さそうだ

仲良さそうに話す姿をみて猛烈にイライラしたけど抑えることにする。

「こんにちは」あくまで爽やかスマイル。
ガラの悪そうな男は俺をみてため息をついた



「すげぇ、爽やかだ
でも俺のほうが王子様っぽい。
ね、なんで俺じゃないの?」



一言一言にイライラする

なんだこいつらほんと誰だ
この辺では見かけない顔。名前を無理矢理引っ張って耳打ちをした



「誰なんだよあいつら」



マヌケな面してそっか!と笑った



「知らなんだね、瑛くん
このひとたち、私がまえ住んでた町の幼馴染みのコウとルカ
夏休み利用して私たちに会いにきてくれてるんだ」


「は?…ん、んん
名前仕事も休んでるみたいだったけど…」


「ふたりの面倒みてて、道案内とかしてほしいって頼まれちゃってさ
ほら、この辺治安悪いでしょ?
だから仕事休んで観光案内してるの!」



危ないって、絶対こいつら名前が一緒にいてほしかっただけだろ
その辺のガラ悪そうなのと変わらねぇよ


いつのまにか鋭い視線を向けてたらしくガラ悪そうなのがこっちに気づいてニヤッと笑った。ほらやっぱり




「連絡とれないから心配したんだよ?」


「あっ、携帯家だ…
ごめんね?」


「…オニーサン、俺らと同じにおいがする
色んな意味で」


「違いねぇ」




だんだん猫被ってるのが疲れてきた

こんなの久しぶりだ


名前はきょとんと不思議そうに俺らを見合わせている




「君たち、誰の女かわかってる?」


「あ?なにいってやがる
手だしたのオマエだろうが
もともと俺のモンだったんだよオウジサマ」


「王子様ならお姫様と結ばれるのが当たり前だろ?
じゃあその女、返してもらっていいかな?」


「悪の組織から救うのはヒーローの役目でしょ?
ヒーローはお姫様を助けて、そして結ばれるんだ」



「(なんの話してるんだろう…)」





あぁ、なんでこんなにも同じ匂いがするんだろう

楽しくて楽しくて、思わず笑えてきた
三人で悪そうに笑うと彼女は首を傾げてなにか納得したように笑った


――――あぁ、そうか、この三人は友達になったのか





            ふたりのヒーローと王子様

          ((  言葉の意味は三人には充分すぎる伝わった  ))
 

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