短編

□君のトナリ
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「ごめん!お待たせ!」


「おせぇんだよ。オラ、行くぞ」


「それじゃ、喫茶店にでも行こう?
俺、ケーキ食べたい」


「あぁ?喫茶店はダメだろ
肉がねぇ」


「いいねぇ、喫茶店!」


「…嘘だろオイ」


「じゃあ喫茶店にいこうっ!」


「…ハァ」




いつもの学校の帰り道、私たちはこの三角関係が始まってからもう一年になる
昔から幼馴染みで仲良かったわたしたちはこの関係にまったく抵抗がない。むしろ嬉しい

また昔みたいに二人で一緒にいてくれることが


週番だったわたしは先生に日誌を書いてて遅れてしまったのに二人は笑顔で待っててくれた


なんやかんや言ってコウも私たちに笑ってついてきてくれるあたり、私たちのいいお兄ちゃんだ

校門を出るとき、かわいい3人組に声をかけられた


たしか隣のクラスの…。
話したことはないけどみたことはある

両側の二人に押されてまた一歩、前に出る
真ん中ないる子は顔を真っ赤にしてこれじゃまるで…




「…ハァ、おいルカ!
さっさとしろよ

…おい名前ちょっと離れんぞ」



わたしの腕を掴んで離れようとする
バイバイと手を振るとルカは不思議な顔をする

真っ赤になった彼女は「違うんです!」とコウに近寄った



「コウにだよこの子
行こう?名前
コウ!いつもの喫茶店で待ってる!」



「あ、オイ!ちと待て!」



流夏に手を引っ張られて私は喫茶店へと向かった

黙って引っ張る流夏はどこか真剣で喫茶店に入ると店員さんにもうひとりくることを伝えて席についた
いつものパフェとわたしのぶんとあとはオレンジジュースを注文する

「あいつがいないと静かだね」と笑う流夏
なんで流夏はあの子に用事があるのを知ってたのか疑問に思って聞いてみることにした



「ねぇ、流夏
なんであの子がコウに用事があるってわかったの?」


「ん?あぁ、
この間、大迫ちゃんから逃げてるときにコウがあの子にぶつかって転ばせちゃって教科書、ぶちまけちゃったんだ

それでコウが拾ってやってたときあの子顔真っ赤だったかもしかして?と思ってさ


そしたら案の定、屋上でサボってたらあの3人で声かけられてよく3人一緒にいるけどあの女のひとと付き合ってるんですかって言われちゃって…
だから違うっていったら喜んでた」



「あの子って…わたし?」



「そう、あいつモテるから
顔がこわすぎるだけで
性格が優しいから知れば好きになるよ」





運ばれたパフェに目を輝かせてパフェに手を伸ばす

次々と運ばれてくる注文した品々に流夏は美味い!といいながら食べ続ける


わたしもパフェに手を伸ばして一口口にいれるけど、いつもよりあまり美味しくない気がする

なんだろう、このモヤモヤ




「心配?」




流夏がそう笑う

ううん、と首を振った



「違うよ、…いや違くないか、なんか寂しくて
もう3人でいれないんだね」


「ううん。コウは付き合わないよ」


「え?」


「あっ、コウきた
コウ!こっち!」




コウの名前を聞いて身体がビクッとした
変に緊張してきた
こんなのいままでなかったのに

コウはこっちにきてわたしの隣に普通に座ってパフェをみるなり苦い顔をした



「うわっ、また虫みてぇなもん食いやがって…」


「どうだった?」




流夏がいきなり聞きにくいことを聞いてきた

ちょっと、と流夏を止めるがコウは一瞬顔をしかめて頬杖をついた



「…どうってふったに決まってんだろ」


「え!?」



思わず大きな声をだしてしまい皆の注目を浴びてしまった

恥ずかしいと顔を下に向けるがもの凄く安心してるのがわかる
良かった、そう思っていた



「ほらね?
いったでしょ?」と目線を向けた流夏にうん!と元気に頷いた




「だいたい、俺はもういんだよ
好きなやつ」


「え!?そうなの!?
初耳…えっ、どんなひと!?」



コウはククク、と笑って頭をガシガシ強く撫でられた



「オマエには絶対教えねェ」



「えっ!?なんでよ!
ねぇ、流夏!」



「え?俺?
俺は知ってるよコウの好きなひと

教えてあげるから隣おいでよ」




流夏が隣をポンポン叩く

教えてくれる!とわくわくして行こうと立ち上がるかコウがわたしの手を引っ張って動かせない



「なに行こうとしたんだバカ!
……行くな」



「バカってなによ!」



「そこかよ!
…まあいいやとにかくダメだ!」



「じゃあ教えてよ!」



「あぁ!?ダメに決まってんだろ!」





ガヤガヤ騒いでコウは楽しそうに笑ってる

そんなコウをみて安心して私も大笑した

このままずっと…と心のなかに呟いた




「(ふたりとも本当にわかりやすい…)」







              君のトナリ
            ((  この気持ちに気づくのはあとどれくらいだろう  ))

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