短編

□その女はその男のさらに上をいく
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「なぁ、どう思う?
天然?それとも狙ったんのかな?」


「…さぁよ
まっ、あいつのことだから天然なんじゃねぇか?」



こうなったのも愛する幼馴染みの発言

好きといったら無邪気にすきという、将来一緒に暮らそう?といったらうんいいよと返ってくる

共通するのは彼女の無邪気な笑顔


ルカはときどきふざけたことをいう
ふざけて照れる顔をみるのが楽しいと心底頭可笑しいことを言うんだ

でも、そんなのもうまくいかないのかルカは珍しく悩んでいた




「なーんか憂鬱だよ
俺ばっか好きになってくみたいでさ」




一緒に暮らすにも好きっていうのもあるけどでもふたりは友達同士

少しでも赤い顔を見せればそれは脈アリ
でもアイツにはそんな顔をみせない

どんどんはまってくこの気持ちが嫌だと苦い顔をした




「甘ったれんな、学校いきたくねぇのはもともとだろ

言ってみればいいだろ?付き合えって
オマエらは一言足りねぇんだよ」



「それでさ、もし無理とか言われたら俺立ち直れない自信ある
あれは完全に脈ナシだ」




そんなことねぇだろ

そう言おうとした言葉を飲み込む
その言葉に確実がないからだ

あの天然な性格、鈍感なところは昔からなんにも変わってない



「ハァ…、まぁもうひと踏ん張りなんじゃねぇか?
どうでもいいやつにそんなこと言わねぇだろフツー」



気づいたらついてしまった学校に無理矢理話をまとめた

ルカがこんなに思い詰めた顔をすんのも珍しい


目の前に現れた話の主。
ルカを見ればいつものように笑って彼女に近づく




「名前おはよー」




さっきの思い詰めた顔はどこへやら
ニコニコ笑って彼女もおはようと笑った

俺も近づいてようと頭を強く撫でればおはようとまた笑った




「可愛いね、今日も
ねね、ちゅーしていい?」



「?、うんいいよ?」




きょとんとなんでも無さそうに笑う

周りは名前の珍回答に目を丸くしてこっちをみていた
ルカも同じように目を丸くする


意味わかってる?
おそるおそる問いかける




「?なにが?」




こういうことか、と初めてルカに同情した

これは生殺し。
キスしていい?と問いかけて照れていいよといったなら男としては大万歳だ
照れながらえ?と戸惑えば可愛すぎる

でも赤い顔もおどおどすることもなくあっさりいいよと答えたこいつの天然と鈍感さには降参するしかない



ルカも戸惑いながら笑ってとぼけたふりをした



「あっ、俺大迫ちゃんに呼ばれてるんだった
また教室でね」


ヒラヒラてを振って彼は降参だというようにその場からさった

惚れた女がこれじゃ相手が可愛そうだ
きっと今頃ルカの頭のなかはぐちゃぐちゃだろう


助け船をだしてやろうとオイと声をかければ変わらない笑顔




「オマエ、ちったぁ意味理解しろよ」


「してるよ?」


「してねぇだろ
テメェは鈍感すぎんだよ昔から」


「…鈍感?昔から?
昔は昔でしょ?

わたしはちゃんとわかってるよ?」




さっきと変わらない笑顔なのにどこか違う

これじゃまるで小悪魔




「ちゃんと意味をもってやってるの
この答えはルカしかしてないし

なによりさ」






“あんなルカ見るの楽しいでしょ?”




そう笑った


あぁ、女ってどうしてこうも黒くなるんだ
見ないうちに変わってたのはどうも俺らだけじゃないらしい

彼女も充分、変わっていた
男を悩ませるほどのある意味イイオンナに






         その女はさらに男の上をいく
       ((  ルカ、お前の惚れた女はある意味オマエと釣り合うみたいだぞ  ))

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