短編

□兄弟
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夕暮れの校舎、
羽ばたき学園に頼まれた花を届けにいったら若王子先生に捕まって気づけば時間は6時。
最後の配達だったから良かったもののこの時間はやばい。ひっじょうにますい。

この学校の雰囲気、何かがでそうな雰囲気は二重丸、いや、花丸なんだが
有沢に、起こられそうだとさっさと帰ろうとしたときふと物音が聞こえた
机を引きずるような音

誰かいるのか?と覗いちゃいけないのわかりながらそっと覗いてみると見えた現象はあまりにも残酷だった



志波と名前がキスをしていた


付き合ったなんて話は聞いてない

第一、俺らは親友で志波の相談は俺が聞いてんだ
『ごめんなさい、真咲先輩
わたし志波くんが好きなの…』

デート現場を目撃したその日
おれはそう告げられた

あのときから親友を偽ってずっと好きでいた


それでも彼女を忘れられなかった
俺はずっと嘘をついて好きでいたんだ

付き合ったのはいつだ?
今日か?


頭がぐちゃぐちゃになって固まってると名前は志波を突き放して走っていった
教室をでるとき、俺とすれ違った際、涙を流していて俺の何かがぶちギレる音がした





「…覗きか。趣味悪い」


「…なにしてんだお前」


「関係ねぇだろ
みたまんまだ」




思わずぶん殴る

倒れこんだ勝己は鋭い目付きで俺を睨んで口元から出た血を拭う




「…ふざけんな
じゃあなんであんな態度なんだ
なんで泣いてたんだ!!

ちゃんと理由あんだろ!」


「……スキンシップやめねぇから
キスしただけだ」




――――――――――ナニイッテルンダコイツ


立ち上がってズボンに付いた埃を払う

こんなやつだったか?
なにいってんだ?


頭が真っ白になって怒りを覚えて気づけば襟元を掴んでいた
壁にぶつかった志波はいてぇよと呟く



「痛いか…、いてぇよなぁ?
あいつはもっといてぇ
なぁ、わかるか?あいつの気持ちが

好きなやつに無理矢理キスされて純粋に保ってきたあいつの感情をぶっこわしたあいつのいまの気持ちが!!」



こんなに怒ったのは初めてだったかもしれない

でも許せなかったんだよ
名前はいっつも勝己の話をして
笑ったり照れたり悲しい顔をしたり、いっぱい見てきた


無邪気なあいつには幸せになった顔を見たかったんだ





「お前にわかるか?
俺の気持ちが。
だいすきな女に違う男の話をされた俺の気持ちが

お前はぶっこわしたんだよ
全部…わかるか?なぁ!」




なにも話さないで黙って下をみる勝己

もういい。と勝己を離すと教室へと歩き出す



「お前がその気なら俺がもらう

お前の気持ちもわからんでもないが
あいつがあーいう性格なのは承知の上で好きになったんだろ?
受け入れろよ


それができないんだったら貰う」



「……さっきからグダグダうるせぇんだよ
あいつの気持ちを考えろとか何様だ


俺がもらう?ふざけるな

あいつは絶対渡さねぇ」




好きなものがよく被った俺たちはよく譲り合った

好きなものを好きじゃないふりをして年上の俺は強がって勝己に好きなものを譲った


勝己は優しいから
『なにいってるんだ、あげる』

って勝己には全部バレてて俺に好きなものを最終的には譲ってくれたっけ

食べ物だったら半分したりもした


優しいあいつはなんでも笑って許してくれたんだ




そんな勝己から初めてでた言葉

“譲らねぇ”の文字


それがお前の本性か?勝己

かっこいいじゃねぇか
真剣な目をしてまっすぐでかっこいい




「嫌われんなよ
今回は譲ってやる、はやくいけ」


「嫌われてもまた好きにさせればいい
俺は絶対譲らねぇあいつだけは」





自分のと名前のバックを持って走り出した


目の前のことで精一杯で気づけば真っ暗になってた

やっばい、有沢に連絡しなくちゃなぁ



携帯を開いて電話をかけようと電話帳を眺めれば現れたのはあいつの名前

携帯を閉じて窓から空を眺めた
満点の星空と満月


よく、あいつと星眺めたっけ

でてくるのはあいつばかりで涙が溢れた



「嘘だろ、しっかりしろ真咲元春」



帰って有沢に怒られてこうと車を走り出した





          兄弟
       ((  親友というでかい壁  ))
 

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