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□Morning
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「遙、寒くない?」
「寒く、ない」
寒くないと本人は言ってるけど、10月の屋外プールは寒いでしょ。
泳ぎ終わったのか、プールの中で一息つく遙。
あたしはは遙のもとへ駆け寄った。
「は、遙!!顔色悪いし、唇紫色だよ?」
「ちょっと泳ぎすぎた。」
だからやめておけと言ったのに・・・でも止めたところで泳がないわけがない。そこに水があれば飛び込むんだから。
遙がプールサイドから上がろうとしたとき、遙の身体はまたプールへと戻された。
おおな水しぶきが上がり、私はすぐプールへと入り遙を水面から引き上げた。
「大丈夫!?」
「寒い。」
そりゃ寒いはずでしょうよ。じゃなくて!
あたしが言いかけた途端、私の身体が遙に引き寄せられた。腕の力は強くなっていき、身体全部が密着するほどになった。
「は、はは遙!とりあえず上がろうよ!」
焦りと嬉しさとが混ざり合う10月のプール。
「鯖あったかい。もうちょっと・・・」
風邪ひいちゃうって!
「あれ?ハルと鯖ちゃん?何してるの?」
「真琴くん!!いいところに来た!遙一緒に引き上げて!」
と、真琴くんが来てくれたことで遙を無事救出した。でも無事ではなかった。遙のおでこに自分の手を当てたとき遙は高熱だった。
「遙、熱でてるよ!?」
真琴くんは少し呆れたようだったけど、遙の腕を回し立たせた。
「じゃあハルの看病しに泊まって行ったほうがいい?」
「真琴はいい。家族心配するだろ」
「真琴くん、あたしが行くよ。あたし一人暮らしだし家近いからさ」
ということで、遙の家まで真琴くんは遙を連れて来てくれた。あたし一人だったら大変だった、真琴くんがあの時来てくれて良かった。
「真琴くん、ありがとう」
「どういたしまして。ハル、鯖ちゃんに居てほしいみたいだね」
「いや、そんなことはッ」
真琴くんは笑い、そっぽを向いている遙を見た。
「じゃあ明日連絡してね、またね」
手を振り真琴くんを見送り、遙をベットまで連れて行った。