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□Anxious
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「だから行かないでほしかったのに」
渚は壁に鯖を追い込む。両手を壁につき、どこからも逃げられなくなった。彼にもう捕まった。
こうなったのは、ついさっきだった。屋上に他のクラスの男子から呼ばれ渚に止められるも、一度だけでいいからとしつこく言われたので屋上へ行った。相手は鯖に告白をした。
だが鯖には、渚という彼氏がいるわけで。振ったが、相手に無理やりキスさせられる所を渚に助けてもらった。
「ごめん…助けてくれてありがとう」
「…それで許すと思う?」
鯖は動揺した。初めて見る渚に。
笑顔を浮かべているけど、その表情に黒が隠されている。
「もう、他の男と2人っきりにさせないよ。僕から離れないで」
何も言葉が出なかった。でも、渚は必死だった。
「返事は?」
「…!はい」
返事を聞いた渚は満足そうになって、いつもの笑顔に戻った。表情がコロコロ変わる渚。
「よしっ♪じゃあ〜」
両手を壁から離し、子供のように1回転する渚。
「鯖ちゃんからキスして? 」
「へっ!!」
「駄目?」
上目遣いで、あざとさが増している。
「じゃ、じゃあ目瞑って」
「うん」
素直に目を瞑る渚。鯖は、口にしようと思ったが恥ずかしくなり頬に口付けをしようとした。
でもその時、瞑っていた目を開け頬にキスしようとしていた唇を唇で塞いだ。
「渚ッ!!」
「だって、ほっぺにしようとしてたでしょ?はいっ、テイク2!!」
「しない!」
屋上の扉を開け、階段を降りていく鯖
。
「ええー!してよー鯖ちゃーん
」
そう言いながら鯖の後をついていく渚。
お昼のチャイムが鳴った。