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□Important person
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プールサイドの端っこで、フェンスを掴みながため息が1つでる。

「はぁ〜」


「ため息ついてたら幸せ逃げちゃうよ?遙の、愛情も」


隣から真琴が言う。でも遙のこと嫌いになんかならないもん。


「それはない!大好き、だから。でも…」


「ハルは恥ずかしがり屋なだけなんだって」


それならいいんだけど…
遙は私と付き合ってる。けど、手は繋いだことないしキスだってしてない。もう2ヶ月経とうとしてるのに。真琴は相談相手になってくれる。遙のこと私より知ってると思うし頼りになる。
自然と涙が溢れた。泣いちゃダメ、そう思うほど涙はたくさん流れた。


「鯖ちゃん」


私の名前を呼んだと同時にふわっと包まれた。真琴の腕が私を抱きしめていた。


「真琴っ…!?」


「ハルじゃなくて俺に…」


その時、真琴と私は第三者によって剥がされた。


「どういうことだ」


私の彼氏、遙だった。遙は見たことないような顔で真琴を見た。


「私が悪いの!」


「違う、遙が悪い。何もしてくれないっていう遙に悩んで鯖ちゃんは泣いてた」


言っちゃった…泣いてたという真琴の言葉に遙の顔は変わった。


「でも鯖は俺の大事な彼女だ 」


「やっと言ったね」


真琴がニッコリ笑い、遙は私の腕を掴んでプールサイドから出た。さっきまで泳いでた遙の腕は若干濡れてて、でも暖かい。遙の熱が初めて感じれた。プールから出て、ちょっと歩いたところで遙は止まった。


「ごめん」


ちょっと俯いて遙はそう言った。Uターンして、私と目が合うと不意打ちに口付けをした。
優しくて、繊細なキス。顔がどんどん赤らめていく。


「俺、鯖に触れたら止まらなくなりそうだったから。だから触れようとしなかった。でも…いいんだよな? 」


「うん…!」


遙が私のことをちゃんと好きでいてくれて良かった。ちゃんも思ってくれてて良かった。遙にとって大事な彼女で良かった。

遙から離れそうにないです。
 

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