ポケットモンスターAW

□第五章
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第五章「それぞれの道」


<ランダ 白き翼を求めて>

-4- ラブ インプレッション

事故が起こることもなく、ルバチュスとランダは無事、フキヨセシティについた。

ルバチュス「やっとついたね」

ランダ「ちょっと長かったですね。」

ルバチュス「ヤマジとフキヨセはかなりの距離があるからね。今日中に着いただけまだいいよ。」

ランダ「それもそうですね。」

まだ日は降り注いではいたが、夕暮れの前といったところだろう。それなりに西に沈んでいる。

ルバチュス「ここあたりは天候も変わりやすいし。今日はフキヨセで休もうか」

ランダ「それが良さそうですね」

二人はフキヨセのポケモンセンターで休むことにした。


次の日の朝…。
案の定、雨が降っている。

ランダ「雨か…。」

ルバチュス「ランダは何処にいくんだい?」

ランダ「リュウラセンの塔です」

彼等がいるのは7番道路。朝早くからフキヨセを出ていた。しかし、それが雨となると、少し気落ちするものだ。

ルバチュス「へぇ〜。ゴルーグでも捕まえにいくのかい?」

ランダ「いえ。まぁ、ちょっと用事があって。」

ルバチュス「うーん…。まさか、伝説のドラゴン…レシラム、ゼクロムの復活とか?」

ランダ「え!?」

ルバチュス「そんなわけないか。
僕はタワーオブヘブンにいってエスパーやゴーストポケモンを捕まえにいくよ」

ランダ「そうですか…。それじゃあ」

ルバチュス「うん。ここらでお別れだね。」

ランダ「短い間でしたけど、助かりました。また、会えるといいですね。」

ルバチュス「きっと会うと思うな。
その時まで、元気でね〜。バイバーイ」

ランダ「ルバチュスさんも、お元気で!」

ルバチュスはタワーオブヘブンの方向へ足を向ける。
ルバチュスの背中を見ながら
ランダは少しため息をつく。

ランダム「1人 か…。」

彼がイッシュ地方を旅立った時、すぐに仲間ができた。いや、ライバルといった方が的確なのだろうか…。二人で競り合いながらも協力して冒険をしていた。そう…彼が病気になるまでは。
どうやら病弱だったらしく、チャンピオンロード目前にして倒れてしまった。チャンピオンとの試合を終え、ランダがライモンシティに戻る途中で尋ねてみたはいいが、既に瀕死状態だった。チャンピオンには完敗し、最大の好敵手を失ってしまったランダが旅を辞めたのも無理は無かった。ルミナとの約束…それを達成できたかは不明だった。でも、彼の体にあったやる気は空っぽになっていた。
だからこそ、自分のポケモンを逃がしたのだ。ただ、一部のポケモンだけはランダが何と言おうと離れなかった。それがブラッキーのミッド、ウォーグルのスカイ、ポリゴンZのサイバーだ。

ミッドは神託の村からずっと一緒の相棒。素っ気ない奴とは言え、ランダのことを信頼し、常に活躍してきた。ブラッキーに進化したのは、ホドモエジムでヤーコンと戦う前日の夜だ。明日の戦略をみんなに伝えているところで進化したというのだから、なかなか面白いものだ。

スカイは4番道路で捕まえたウォーグルだ。最初は全くいうことを聞かない奴だったが、徐々にランダを認め、いまでは勇猛果敢なダイナミックなプレーをしてくれる。その力強さにランダは幾度となく助けられてきた。負けそうな時でもランダを励ましてくれる…そんな熱い奴だ。

サイバーはポリゴンの時にある人から渡されたものだ。その凄まじい破壊力に振り回されながらも、成長し、Zへと進化を遂げた。普通のポリゴンよりも感情が発達しているのが特徴だ。まだまだ謎が多く、今後も新たな発見がありそうだ。

今は他にカリブ、シューラの二体が手持ちにいる。

カリブはサザナミ湾で死にかけているところを見つけ、助けたフローゼルだ。何故死にかけていたかは不明。恩を感じたのか、ランダについてきた。海賊のような荒々しい奴で、扱いに困っていたが、バトルセンスは卓越していたため支障が出ることはなかった。話して分かったのは、やはり口が悪かった。人間の食べ物の一部が好物というのも変わっている。

シューラはみなさんもご存知の通り、たまたま投げちゃったクイックボールで捕まった。昨日の今日だけど、ランダの為に頑張ってくれるドリュウズなのできっと頼りになるだろう。

ランダ「まぁ、頼もしいパートナー達がいるんだ、不安がることはないか」

そういったものの、ランダは別に不安なのではない。
寂しいのだ。今までは仲間がいた。
一緒に旅をしてくれる仲間が…。
だが、今は一人。寂しさを感じずにはいられなかった。ポケモンがいる分、寂しくはないのかもしれない。
それでもやっぱり、何かが足りない気がした。

そんなランダに感づいたのか、モンスターボールからポケモンが出てきた。

カリブ‘‘なに、ボヤ〜っとしてんだよ。早く行こうぜ。”

ランダ「ん、あ、あぁ、そうだな。」

カリブ‘‘寂しいなら、相手するぜ”

ランダ「カリブ…。ありがとう、せっかくポケモンと話せるんだし…。
たまにはゆっくり話すか。」

カリブ‘‘へっ かかったな。それじゃ、じゃんじゃん質問するぜ。
主人を知ることは大切だからな”

ランダム「別にやましい事なんてないからな。なんでも質問してみろよ
カリブ。その代わり、俺もするからな?」

カリブ‘‘あぁ、別にいいぜ。こちらからいく。素直に言えよ?ルミナちゃんのことはどう思ってるのさ”

ランダ「なっ…。う、うぅっ…。
い、言わなきゃダメ?」

カリブ‘‘当然だろ。ほら早く答えろよ”

ランダ「そ、そりゃ、その…。
あ、あんな可愛い子、好きにな、ならないわけないだろ!」

カリブ‘‘あらら、耳まで真っ赤だぜ、ランダく〜ん」

ランダ「こいつ…。馬鹿にしやがって。もうバトルさせないぞ」

カリブ‘‘別に俺無しでいけるならいいけどな”

ランダ「くそっ…。自分のポケモンとはいえ、腹が立つな…。」

カリブ‘‘じょ、冗談に決まってるだろ。本気にすんなよ”

ランダ「あ、主人を傷つけたと思って、焦ったな」

カリブ‘‘る、るせ…。まぁ、あんたには感謝してる…からな。」

カリブが恥ずかしそうに言う。
ちょうどネジ山が見えてきた。
ネジ山を越えればセッカシティだ。

ランダ「そりゃありがたいね。大海賊カリブに感謝されて、俺も光栄だよ」

カリブ‘‘一本とられたな…。”

ミッド‘‘いやに盛り上がってるじゃん”

ミッドがボールから勝手に出てきた。珍しいなぁ〜。

スカイ「たまには参加しますよ!」

スカイも出てきた。となると当然…。

サイバー「ワタシ モ オハナシ キキマス」

シューラ「あ、は、は、はじめまして。昨日からランダさんの手持ちになりましたシューラです。よ、よろしくお願いします」

一同「よろしく、シューラ」

おのおのが自己紹介を終え、再び話し出す。

シューラ‘‘それで…ランダさん、何を話してたんですか?”

カリブ‘‘恋バナだぜ”

サイバー‘‘コイバナナ…?ケンサク シテモ ミアタリマセン”

ミッド‘‘違う、恋の話 でコイバナだ。植物じゃない」

スカイ‘‘相変わらずだね、サイバーは”

シューラ‘‘コイバナですか…。まだそんなのいないです”

ランダ「逆にいうと、コイバナできる奴はどいつなんだ」

カリブ‘‘おうよ”

ミッド‘‘ま、まぁ…。”

スカイ‘‘はーい!”

サイバー‘‘ヨメ ナラ イマス”

ランダ「ええっ」

シューラ‘‘え、僕だけ…。”

ランダ「え、なに、俺の手持ちって恋しやすいの、なんなの」

シューラ‘‘うぅっ…グズン”

ランダ「仕方ないさ、まだ旅だってから一日だもん。そのうち見つかるよ、きっと。てか、見つかったからっていいもんでもないし」

スカイ‘‘そーだよ!苦しいこともあるもんね”

ミッド/カリブ‘‘分かる。”

サイバー‘‘セヤナ”

シューラ‘‘そうなんですかぁ
皆さん、大変ですね”

ミッド‘‘でも、アイシクルの事考えるとなんか楽しいし”

カリブ‘‘マシュマはなんか…守りたいぜ”

スカイ‘‘ハッピーさんの優しさに惚れちゃって…。”

サイバー‘‘ヨメ ハ クチート イロン ハ ミトメル”

ランダ「なんだって!?ルミナの手持ちばっかじゃないか!!」

サイバー‘‘ハブラレマシタ”

ミッド/カリブ/スカイ‘‘そういうランダは?”

ランダ「…ルミナのこと好きだけど…。」

サイバー‘‘コレ ハ ヒドイ”

シューラ‘‘あの、ルミナさんというのは…?”

ミッド‘‘ランダの幼馴染の可愛い子だよ。天使って呼ばれてる。”

シューラ‘‘ランダさん、ドリルライナーぶっ放していいですか?”

ランダ「怖いよ、シューラ。やめようね」

シューラ‘‘やってもいいですか?”

ランダ「よくないです」

こんな会話…。常軌を逸してる会話をしながらも、ランダ達一行?はネジ山を越えていく。

しばらく歩けば寒くなってきた。
セッカシティに近づいてる証拠だ。

ミッド‘‘寒っ”

ランダ「そんなんじゃアイシク…」

ミッド‘‘こんなの平気だね”

スカイ‘‘ふふっ”

ミッド‘‘なんだよ。文句あるか?”

スカイ‘‘いや、別にね(笑)”

カリブ‘‘見栄はるんじゃねぇよ、ミッド”

ミッド‘‘お前には言われたくない”

カリブ‘‘お、やるか?”

ランダ「喧嘩はやめろよな。ミッド、カリブ。」

カリブ‘‘へーい”

ミッド‘‘…すまない”

サイバー‘‘スイテイオンド マイナス12度”

ランダ「そりゃ寒いな。みんな戻るか?」

シューラ‘‘僕は大丈夫です”

スカイ‘‘翼が寒くて動かなくて…
戻ります。”

ミッド‘‘他は大丈夫だろ? ”

カリブ‘‘俺はもとから耐性あるしな”

サイバー‘‘サザナミワン ハ アタタカイ デスヨ”

ランダ「寒いから、おれがモンスターボールに入りたい…。」

カリブ‘‘情けないな。…ごめん、寒い。”

スカイとカリブをランダはボールに戻す。

ランダ「ミッドは大丈夫なのか?正直にいって寒いよ?」

ミッド‘‘ア、アイシクルに認められたいから…。”

ランダ「ミッド…。分かった。頑張れよ」

寒さに震える一人と一匹。地中に暮らすドリュウズとはいえ、住んでいたところは暖かったシューラ。普通に考えれば一緒に震えているはずだ。

ランダ「シュシュシューラはなななんでで寒くなないんだだ?」

シューラ‘‘あの…。何を言ってるのかさっぱり分からないんですが…。”

サイバー‘‘サムスギテ シャベレテナイ コエ フルエテル”

ミッド‘‘シュシュシューラはななんででで寒くななないんだだだ だろ?」

サイバー‘‘ ミッド モ シャベレテナイ”


シューラ‘‘サイバーさん、なんて言ったか分かりますか?”

サイバー‘‘カイセキフノウ”

シューラ‘‘”

ランダ「ほ炎タイプががいないいいのはやっぱりりりきついなな」

ミッド‘‘もももう、しゃ喋るのははやめよよううう”

ガタガタ震える二人はもう、さっぱり喋れてなかった。ちなみに、ランダはともかく、ミッドはポケモンだ。ガタガタ震えるからといって声は震えないのでは?と思うかもしれないだろうが、気にしてはいけない。だって異世界だもの。

サイバーとシューラの話を尻目に、ランダは進んでゆく。セッカシティはすぐそこだ。
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