ポケットモンスターAW
□第四章
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ブクブクブク…。
ルミナ「古い神殿だね〜」
ランダ「そうだね。だいぶ壊れてるな」
マクシュ「それな」
海の中だが、酸素ボンベをつけているため、話すことができる。マクシュさん、ナイスジョブだ。
マクシュ「ここが入り口か。さて、いよいよラピスラズリのボスとご対面かな」
???「それは海上でやりましょうよ」
突然、ランダたちの身体が海面へと上がっていく。
ルミナ「きゃっ、な、なに!?」
ランダ「くっ…。」
マクシュ「ホエルオーの潮吹きか?」
三人とポケモン達は海面を超え、空に浮かび上がる。このままでは、打ち付けられてしまう。
ランダ「頼む、スカイ!」
ルミナ「お願い、ハッピー」
ランダ、ルミナはそれぞれの鳥ポケモンに助けられた。
ランダ「もどれ、カリブ!」
ルミナ「もどって、マシュマ」
マクシュ「あっ(察し)
…ラグナロク、戻れ」
マクシュさんはラグラージをボールに戻すと、そのまま水面へと落下していった。
ルミナ/ランダ「マクシュさーん!」
バッシャーン!
マクシュの身体は青へとその姿を消し、見えなくなった。
代わりに、ホエルオーがその巨体を現す。上には、人が二人乗っている。
ランダ「惜しい人をなくした…。」
ルミナ「そうね…。」
???「全くですね…。」
⁇⁇「だな。」
マクシュ「って、死んでねーよ!てか、てめぇら誰だよ!!」
マクシュがママンボウに捕まりながら海中から顔を出す。
ルミナ「ふ、復活早っ」
ランダ「流石、マクシュさんだ。」
マクシュ「てめぇら…。まぁ、いい。Nのおかげで助かった…かな。」
Nと遊んでいたママンボウが、助けてくれたようだ。マクシュ、命拾い。まぁ、死んだら死んだで良かった気も…。
マクシュ「自虐って悲しいね…。」
ルミナ「そんなことより、あの二人…。片方は青いスーツだから、ラピスラズリかしら?」
シアン「その通りです。僕がラピスラズリのリーダー、シアン。安心してください、ランダ、ルミナ…貴方達二人には危害を加えるつもりはありません。」
トランス「私は、トランス。この男に手を貸しているものです。」
マクシュ「え、なに、いじめ?嘘だろ、おい。なんで俺だけ殺られる感じなんだよ」
シアン「いってください、リッキー!」
シアンはへラクロスを繰り出した。
ラピスラズリのリーダーだけあって、強力なポケモンを使う。
ランダ「リーダー…なんだよね?」
ルミナ「丁寧な喋り方だから、あんまりそう見えないわね」
シアン「周りの団員にも言われます。ですが…舐められちゃ困ります」
マクシュ「いけ、サザンジュ!」
マクシュはハッサムをボールから出した。赤いボディがキラリと輝く。
シアン「リッキー、インファイト!」
マクシュ「サザンジュ、剣の舞!」
へラクロスの強力な攻撃が決まるも、ハッサムはしっかり受けとめる。そして、数本の黒い剣が現れ、回転をし、キン!と音を立てる。
剣のぶつかった衝撃で発生したエネルギーがハッサムに伝わる。
シアン「リッキー、メガ進化です!
そして…力を見せてあげましょう…僕達、ラピスラズリの恐ろしさを…」
マクシュ「サザンジュ!バレットパンチでしとめるぞ!」
へラクロスから、光が出たかと思うと、その姿が変化していた。
角と腕が巨大化し、顔はオレンジ色になっている。一回り大きく見えるためか、重そうに感じる。
メガへラクロスは、ミサイル針をしかけてきた。その巨大な角で突進してくる。特性スキルリンクにより、五回の猛攻だ。対し、ハッサムは怒涛の連続パンチを鋼の拳で打ち出す。互いの攻撃がぶつかり合う。
マクシュ「ハッサム、虫食い!」
シアン「甘いんですよ…。そんなに甘いんなら、最初から戦わなければいいんです。リッキー!ロックブラストでとどめです!」
僅かに、メガへラクロスの方が素早く攻撃を打った。五発の岩の塊がハッサムを襲う。
ハッサムは海へと落ちていった。
マクシュ「ハッサム!!」
マクシュはハッサムをボールへと戻した。
シアン「貴方は…甘い。自分に対しても、他人に対しても。ハッサムの素早さでは、微妙にへラクロスを抜けないこと、分かっていたはずです。それなのに、バレットパンチを打たなかった…。手加減しましたね?なぜです。」
マクシュ「すごい洞察眼だな…。その通りさ。あんたの力、確かめたかった。トレーナーに対し、心を開いていなければ、ポケモンは反応が遅れる。だが、リッキーはきちんと反応した…。あんたら、ラピスラズリはそうだ。ポケモンに信頼されている。そして、無理やりポケモンを戦場に駆らさせているようにも見えない…。」
ランダ「確かに…。」
ルミナ「私が戦ったインディゴもそうだったわ」
シアン「当然じゃないですか。ポケモンはパートナー。大切にするものです。」
トランス「…。」
ランダ「じゃあ、なぜデンデンを狙う!!」
シアン「僕達には、彼の力が必要だったのです。彼は、メガストーン無しでメガ進化をすることができます。貴方達も見たでしょう?」
ルミナ「あっ!確かに、メガストーンはないのに進化したわ!」
ランダ「メガシンカにメガストーンは絶対必要なはず…。なんで、そんなことができるんだ?」
マクシュ「デンリュウに何をした?」
シアン「我々が手に入れたデータから、ドラゴンポケモンのDNAを入れさせてもらいました。メリープの時に、ね。彼は親を亡くし、死ぬ間際だったので、応急処置が必要だった…。そこで、プラズマ団の研究、それからカロスに伝わる伝説から、この方法が分かりました。彼の力を強くし、命を守るためには、こうする他なかったのです。」
ルミナ「そ、それじゃあ、デンデンを助けるために…」
ランダ「待てよ。じゃあ、なんでデンデンを追う必要があったんだ?」
シアン「実験は成功し、驚くべき成長スピードでメリープはデンリュウになりました。そして、メガリングに近づけると…メガ進化をした。我々の予想を超え、メリープはパワーアップしていたのです。彼を研究すれば、メガストーン無しでメガ進化どころか、どんなポケモンでもメガ進化できるのではないか…?我々はそこに辿りつきました。」
ランダ「どんなポケモンでも、メガ進化…。」
シアン「そんな時に、デンリュウがさらわれてしまい…ルミナの手に渡った、というわけです。
ですが、デンリュウはもう、いらなくなりました。」
ランダ/ルミナ/マクシュ「!?」
シアン「僕達は遂に…遂にメガシンカを自在に使えるようになった!この力で…世界を管理する!
この世界には管理が必要なんです。
ポケモンと人…。どちらも私欲に身を委ねた結果、無駄な死を重ねてきました。そして、憎しみが生まれ、悲しみに明け暮れていく…。
こんな世界は間違っています!
だから、ラピスラズリがそれを管理し、間違いのない世界にしなければならないのです。」
マクシュ「…言い返せない」
ルミナ「で、でもっ!」
ルミナは言葉を続ける。
ルミナ「自由だからこそ、ポケモンと人が絆を深められるはずだよっ!」
ランダ「…自由を失えば、それこそ哀しみしかないんじゃないのか?」
シアン「自由を失って始めて、ヒトは気づきます。自分たちの過ちに…。ポケモンもまた、気づくのです。自らが何をしてきたのか。破壊しかしないポケモンだって、この世には存在しますからね。」
ランダ「ヒトの過ち…。」
ランダは、ゲーチスを思い出していた。自分の父は、彼のせいで無駄に死んでいった…。管理をすれば、悪が消えていくのも確かだ。
トランス「用は済みました。そろそろ、戻りませんか、ボス。」
シアン「そうですね。ランダ、ルミナ、僕は大いなる力を手に入れる。そして、世界を管理し、理想の世界へと変える。止めたいのなら、止めてみてください。ただ…邪魔するというのなら、容赦はしないですよ。」
ラピスラズリのヘリコプターが到着し、彼らはそれに乗り込んだ。
ホエルオーはトランスのポケモンだったらしく、彼のボールに戻っていった。
ブルルルルル…
ヘリは夕日にその姿を消していった。
ルミナ「ねぇ、ランダ、ラピスラズリのこと、どう思う?」
朝、海水浴をしていたメンバーが、暗い雰囲気で集まっていた。誰も、口を開くことができない中、ルミナが俺ランダ話かけてきた。
ランダ「そうだなぁ…。」
みんなの視線を感じながらも、ランダは答える。
ランダ「分からない、というのが本音かな…。ラピスラズリが善なのか、悪なのか、分からなくなってきた。目的は確かに、俺達から自由を奪うことだ。でも…それで、この世から悪が消えるとも、思えるんだ…。」
俺ランダに続き、キョウヘイが口を開いた。
キョウヘイ「あいつら、強かった。それも、プラズマ団とかが持つ強さとは違う…。ポケモンを信頼しているから、できる強さ…。それだけに、 悪 と肯定できない…。」
ルリ「わたしは、よく分からないです…。」
シロナ「...たしかに、ポケモンのことを考えていたわ。でも、自分の正義を他人に押し付けるのは、間違ってると思うわ。」
ルミナ「私は、シロナさんに賛成かな。自由だからこそ、ポケモンもヒトも、その力を発揮できると思うなっ!」
N「キョウヘイのいうとおり、やり方もそこまで手荒じゃない。彼等のポケモンは、みな自分の本能の赴くままにバトルをしていた。声を聞いても、そうだ。無理やりバトルをさせられているわけではないだけに、僕も迷っている…。善悪を決める数式なんて、ないしね。」
アイリス「わたし、よくワカンナーイ。でも、自由なほうがいい!」
マクシュ「管理か、自由か…。どちらも正しいだろうな、きっと。」(中枢世界でも、そうだしなぁ…)
それぞれ、意見を述べてみたものの、答えは出なかった。
キョウヘイ「僕は、ちょっと修行をするよ。バカンス気分だったのもあるけど、負けたのは事実。チャンピオンとして、このまま引き下がれない。」
N「僕もキョウヘイと同じかな」
アイリス「わたしも〜」
アイリスとNは、先にポケモンリーグへと向かった。キョウヘイはランダに話があるらしく、その場に残った。
マクシュ「あいつら、他地方にも出没してるらしいし…。俺はホウエン地方に行ってくらぁ。その中で、奴らと戦うか、決めるかな。」
そう言い、マクシュもこの場から姿を消した。ルリも場の雰囲気を読み、帰っていった。
ルミナ「ランダ、私はね…。ラピスラズリと戦おうかなって、思うの。
ランダはどうする?」
ランダ「…。まだ、決めてない。」
ルミナ「そっか…。」
しばらく、沈黙が流れる。と、そこにキョウヘイが入ってきた。
キョウヘイ「ランダ、君に渡すものがある。」
そういって渡されたのは、白く輝く、丸い石だ。
ランダ「こ、これは…?」
キョウヘイ「ホワイトストーン。レシラムだ。」
ランダ「!?」
キョウヘイ「真実とは何か…。レシラムは真実を追い求める。こいつ、お前のこと気に入っててさ。リュウラセンの塔に行けば、レシラムはお前のものになる。どうする?」
ランダ「真実…。ラピスラズリが善なのか、悪か。レシラムなら分かるかもしれないのか…。キョウヘイさん、ありがとうございます。俺、レシラムをゲットして、真実に辿り着いて見せます!」
ルミナ「それじゃあ、ランダ、ここでお別れだね…。」
ランダ「えっ…?」
ルミナ「私は、デンデンをくれた人に会いにいくわ。私は南。あなたは北東。」
ランダ「あ、そっか…。
ルミナ、無理すんなよ。」
ルミナ「ランダもね。それじゃっ」
ルミナはブラックタウン/ホワイトフォレストの方面へと歩き出した。
キョウヘイ「それじゃっ!」
キョウヘイさんもポケモンリーグへと行ってしまった。
シロナ「私は、海底神殿を調べてみるわ。なにかラピスラズリのこと、分かるかもしれないわ。ランダくん、ポケモンを信じて、進むのよ」
ランダ「はい!」
こうして、ラピスラズリと戦うかどうか、再びその意思を決めることになったランダ。
果たして、彼が辿り着いた答えとは…?
そして、ルミナはデンデンを託した人物に出会えるのか?
To be continued…