八犬伝
□いつでも傍に
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「なんで殴んの!?」
「今の状況で殴らないやつがいるか!
それに、お前…なんか現八と同じ類な気がするし…」
信乃は自分で言いながら、
現八が時々見せる自分への危険な目線を思いだし、一瞬寒気がした。
「あの雷鬼と?それはいやだな〜」
蒼は意外とあっさり信乃から手を離した。
「信乃ってひどいよね。さっきは行くなって言ってたくせに、次は近寄んなって言うんだからさ」
蒼は少し悲しそうに言う。
「さっきのとは別だろ!?あれは荘介に言ったんだ!」
蒼の表情を見て、慌てて信乃は言い訳のように言った。
「荘介…。じゃあ、今日はずっと荘介がいないんだよな…」
(調度、あんな夢見た今日に。)
荘介を想い、シリアス顔になる信乃に、
「信乃。それ、目の前にいる俺を無視して言う言葉?」
蒼はムッとした顔を隠さない。
(たださえ、俺には信乃といる時間が限られているのに…)
「信乃」