八犬伝
□いつでも傍に
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その日、信乃は、いつもと変わらず犬になった荘介を抱きしめて寝ていた。
その日が荘介と蒼が一つになってから
初めての朔の日だってことも知らずに・・・
「行くな・・・」
嫌な夢を見たせいか、自分より先に寝床を出ようとする彼を信乃はやや夢の中にまだいながら手をつかんで引き留めた。
「そんなに俺に傍にいてほしいの?信乃にそんなこと言ってもらえるなんて光栄だね」
人間に変化しながら、彼は意地悪な笑顔で信乃に言う。
「蒼!?」
それがいつもとは明らかに違う彼であることに気づき、信乃は飛び起きた。
「そうだよ」
「なんでお前が!?荘は!?荘はいったいどうしちまったんだよ!?」
慌てて言う信乃に、蒼は冷静に、でもすぐ荘介の名前が出てきたのを少し嫌そうに言う。
「今日って何の日か分かる?信乃」
「え?何の日って・・・」
いつも不安になるその日も平和ボケしているせいか信乃は思い出せない。
「あ、もしかして・・・」
「当たり。」
やっと思い出した信乃に、蒼は優しく言う。