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□bifrostT
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自分のベッドでぐったりと横になってひたすら思考に耽った。
一応、あの頭痛に見舞われたときに色んなことを思い出したのだけど、一気に大量の情報が入ってきたせいで今は脳がキャパ不足に陥っている。
頭だけじゃない、おそらく精神的にもきている。
膨大な量の情報を前に私は、ただゆっくりと咀嚼していくことしかできない。



綺麗な虹を渡り終えると、薄暗い森に出た。
まるで東京の高層ビルを彷彿とさせるような、見上げるだけで首が痛くなってしまうような背の高い樹木でできた森林だ。
私はその森を、まるで不思議の国のアリスにでもなったかのような気分で歩いていた。
これからどんな楽しいことが待っているんだろう、と。
気分はとても軽やかで、足取りもそうだった。
しばらく歩いているうちに、森の中に居を構えているというおじさんに会った。
おじさんに、もう日が暮れるよお家へお帰りと言われたので、帰り方が分からないと答えたら、じゃあ家に泊まるといいと言われ、招かれるままにおじさんの家に泊めさせてもらった。
おじさんは奥さんと二人で暮らしているらしく、手厚い歓迎を受けた。
ちょうどおじさんの奥さんの手料理に舌鼓を打っているとき、強盗に襲われた。
強盗の人数は5人くらいはいたと思う。
おじさんとおばさんが強盗の手に落ちて、次は私だと思って身構えていた。
強盗の一人が、私のことを東洋人だと言った。希少価値が高いのだと。
強盗には人買いのツテがあったらしく、私は拘束され、人買いに売られた。
そしてしばらくは人買いの下で商品として過ごした。
買い手がつくまで同じように商品の中にいた人達は、身だしなみの整っている者は少なかった。
異臭がして、まるで動物園みたいだって思ったっけ。
そしてある日、父様に買い取られた。
父様は珍しいものをコレクションするのが趣味で、私もそのうちのひとつなんだと察しがついた。
そして私を養子にした。
それからは父様に飽きられないようにと必死で勉強した。
色んな本を読んで雄弁に語る私を父様はえらく気に入ってくれた。
そしてある日、流行病の予防注射を打つからと、父様は私を連れ出した。
そうして打たれた注射で…私は…

ずきり、とまた頭痛がする。
あの酷い頭痛に比べれば軽いものだが、あの注射を打たれた直後のことを思い出そうとすると頭が痛くなって上手く思い出せない。
もしかしたら私は巨人じゃないのかもしれない。
記憶も混濁していて、はっきりと巨人化したことを覚えているわけではないのだ。
もしかしたら、そう思いたくても脳髄の奥深く、本能で分かる。
私は巨人なのだと。
それでも、やっぱり信じたくなくて。


 
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