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□bifrostU
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夢を見ていた。
それはとても長い夢で、ただ漫然と他人事みたいに頭の中を通り過ぎていく。



大きな壁から覗き込むとミニチュアな街が見えた。

逞しく精悍な体つきの金髪の少年の背中が大きく見えた。

背の低い無愛想な金髪の少女の横顔が美しかった。

大勢の仲間たちと行動を共にした。



黒髪の少女が恥ずかしそうに何か話し掛けてきている。
うまく聞き取れなくて曖昧に笑うと、彼女がにっこりと笑い掛けてくれる。
その顔を見ると何だかとても安心させられた。
それがとても掛け替えのないもので、大切なものなんだと、そう感じた。
ずっとこのままでいたい。
彼女の笑顔を眺めていたい。
そう思うと、次第に彼女の向こうからほろほろと光が差し込んできて、
暖かくて気持ちのいい光にされるがままになっていた。
すこしずつ増えていく光の量にいつの間にか何も見えなくなっていて、
心地良い暖かさと安心感に包まれながら、
頭の奥、脳髄の中心では彼女の姿が見えないことに不安を覚えていた。

あの子を探さないと。

じりじりと焚き付けてくる焦燥感と、そうしなければならないという確信から、
ただただ無心に腕を伸ばしていた。




 
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