bookshelf
□bifrostT
1ページ/41ページ
夢を見ていた。
足元には綺麗な虹が架かっている。
両端の赤い、変わった虹だ。
大量の光の粒が集まったみたいに、きらきらと、ふわふわと。
とても綺麗で、暖かい。
手を伸ばしてみても触れることはできなくて。
なんとなく残念に思った。
光の中に手を入れたまま拳を握って光から手を出して開いてみる。
手の中には何も入ってはいない。
こんなにも綺麗なのに、触れることも持ち帰ることもできなくて。
なんだか勿体無い。
私にしか見れないなんて。
誰かに見せたかった。
私はこんなに綺麗な虹を見たんだよって、自慢したかった。
溜息を吐いて、顔を上げた。
その虹はどこまでも綺麗で、暖かくて、大きくて。
どこまでも続いているように見えた。
この虹の先に何かあるんだろうか。
そう思って虹を登る。
触れようと思っても触れられなかったこの虹は、渡ることはできるみたいで。
私はもう虹への執着も忘れて、ただ虹の先に待つものを見るために歩を進めた。