メモ2*4
□想いのトライアングル
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三角形…トライアングル…循環…ん〜。
愛しい恋人が食べたいと言ったから作ったサンドイッチを口に含みながら、そんなことを考えていた。
しかし、同じ皿のそれを口にしている隣の彼女をふと見れば、
ボーッとしながら…でもとても幸せそうにサンドイッチを食べていた。
「えりたん、こぼれてるで。」
「ん?ぁあ…」
こぼしたパン粉を長い首を使って拾おうと、必死で下を向く彼女が可愛くて
つい笑みがこぼれる。
「ふふっ、えりたん、ここについてる。」
「ありがとう、まゆ」
私がとってやるとえりたんも、フニャッと笑った。
しばらくすると、皿は空っぽになった。
「あ〜美味しかった!まゆちゃん、ありがとう。美味しかったで。」
えりたんは、ニコニコしながら私を見た。
「どういたしまして。」
その顔を見てなんだか干したばかりの布団に顔を埋めた時のようにポカポカした気持ちになった私は、その皿を流しへと持っていく時、ふと思った。
私は、えりたんを笑顔にさせたくてサンドイッチを作ったけれど、
結局、喜んでいるのは自分なんじゃないかと。
えりたんの「ありがとう」が私の紐をゆっくりと弛めてくれる。
そんな彼女だから、またなにかしてあげたいと思ってしまうんだ。
「ねぇ、えりたん?」
「ん?」
私は、彼女のもとに戻って尋ねる。
「なにかほしいもんあるぅ?」
「ほしいもんなぁ…」
彼女は、ちょっと顔を傾けた。
「うん。」
しばらく考えた彼女が私を見たので、なにかあったかと思って、なに?と目で聞けば、
「なんで?誕生日まだやで。」
っと言った。
私は、少しその返答にずっこけそうになりながらも、言う。
「うん…そんなん知ってるわ。」
「ほな、なんで?」
えりたんの純粋な瞳が私に答えを求めた。
さっきまで、私が質問していたはずなのに、いつの間にか彼女のペースになっている。
だから、少し恥ずかしいけれど、もう本当のこと言ってしまおう。
「いや、えりたんにいつも癒されてるし、私もえりたんになにかできたらなって。」
ちょっと目をそらして言ったのに、言い終えて彼女を見ると彼女は、私を見つめていった。
「私もまゆと一緒におると安心するで。そやから、一緒や。もぉ、欲しいもんはもろうてんで。」
なんだか嬉しくて、微笑みながら言う。
「そっか…よかった。」
「そやから…」
今度は彼女が、そう呟いて少し恥ずかしそうにした。
「?」
「どこにも行かんといてな。」
「うん。」
彼女は小さな声でつぶやいたので、私は彼女をゆっくりと抱き締めた。
「ありがとう、まゆ。」
「ありがとう…えりたん。」